02



「ん…?」


いつもだったら未だ俺の腕の中ですやすやと寝息を立てているはずの真樹緒が、腕の中にいなかった。


夏だというのに相変わらずくっつく事が好きな真樹緒は、夜になるともぞもぞと床の中に入って来ては共に夜を過ごす。
暑くねぇのかと頬を撫でながら聞いてみたが、「やって政宗様と一緒に寝るん」と可愛いお強請りだ。
それを無碍に出来る訳がねぇ。

夜、ぼんやりと光る灯明の下、他愛も無い話をしながら眠るのが最近の日課で。
朝になって汗をかきながらも自分の腕の中にいる真樹緒を見るのが楽しみだったりする。


「Ah―…?」


だが、その真樹緒が今朝は腕の中にいない。
先に起きたのかと目をうっすら開いて見れば、辺りは未だ薄ぼんやりと暗かった。
まだ起床というには早すぎる。


「真樹緒…?」


もう少し寝ろと手探りで真樹緒を探せば、小さな体に手が触れた。
何だいるんじゃねぇかと目を瞑り自分の元へ引き寄せる。


「う、わ。」


声が聞こえたが構いやしない。
日はまだ昇っていないのだ。


「ま、政宗さま…!」
「…ほら来い、」


寝るぞとその体を抱き込んだのはいい。
甘ったるい匂いと小さな体はいつも通りだ。
「起きて起きてまさむねさま!」と呼ぶ声が少し高いのが気になったが、それは確かに真樹緒のもので。


「政宗さま!!」
「…Ah―…?」


ぺちぺちと俺の頬を叩く真樹緒に構わず腕に力を入れた。


だが。


……
………


あ?


いつもよりやわっこくねぇかお前。
腹や、腕、何より体全体が。
いつもそれなりにそこらじゅうが餅みてぇだが今朝は一際。
特にこう、腹から胸にかけてが…―――


むにゅ。


ぬー、こちょばい。
…Ah…?


……
………


目が覚めた。
完全に目が覚めた。
てめぇ、何だこの乳は。


「…真樹緒。」
「あ、政宗様起きた。」


起きらいでか。
お前、一体何事だこれは。
この乳は。


狙ったように俺の掌に収まるjust sizeじゃねぇか俺に対する挑戦か。
いいだろう。
望むところだ受けて立つ。


「…まさむねさま?」


もにもに。
もにもに。



「ぬー!揉まんとってー!!」
「ふざけんな。」


真樹緒、てめぇの乳だぞ。
目の前にあるのに揉まねぇでどうする。
独眼竜の名が廃ってもいいのか。


…そんな一大事なん…?
俺が名ァ懸けてんだぞ。


一大事じゃ無くて何なんだ。


「ぬー…それやったらどうぞー。」


優しくもんでね。
俺の手ぇよりはでっかいけど、政宗様の手には丁度良いかんじやから。
おっぱい。


あんまり強いんは嫌やで。
こう、ふにっと揉んでや。


「OK、OK、任せろ。」


お前が嫌だと音を上げる程揉んでやる。


じたばた暴れていた真樹緒の体を座らせると背中から抱きこみ、その頬を撫でた。
一回りは小さくなった真樹緒の頬はいつもよりも心なしか丸い。
だがどこをどう見ても目の前にいるのは真樹緒で。


何が真樹緒に起こったのか、俺に計り知る事は出来ない。
昨夜までは普通だったんだ。


恐らく何か変なもんでも食ったんだろうよ。


「なー、政宗さまー。」
「Ah?何だ。」
そろそろやぁ、…俺のこの状態、突っ込んでほしいんやけどー。


政宗様が触れてくれやんから俺、自分からいうてもうたやん。
なぁ、政宗さま。
俺女の子になってもうてんけど。
おっぱいつてもうてんけど。


どこか不満げに唇を尖らせている真樹緒に笑う。
そしてやはりいつもより小さくなってしまった唇を啄ばんだ。


「んぅ、」
「…真樹緒。」


よく聞け真樹緒。
お前が男だろうと女だろうとそれは大した問題じゃねぇ。
いいか。
今大事なのはお前の乳が俺の目の前にあるって事実だ。
分かるか。


「…ぬ?」
「要はこの状況に突っ込んだら負けだ。」


Coolにいこうぜ。


ぬーん。


くーる…
くーるなんかな…
おっぱいが。


ちょっと原因とか聞いてくれてもいいのに政宗様。
何だかマジな顔の政宗様はマジな顔のまんま俺のおっぱいを揉もうとして、ちょびっといつもよりえろいです…!!


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