[おへんじ]キネマ主


「俺おにぎりとくい!」


三角おにぎりはまだよう作れやんけど丸いおにぎりやったら俺、ちょう得意やで!


「これでもかってぐらいの強さで握ってくるよね、真樹緒。」
「茶碗に盛ったら結構あるだろうな。」
「小さい手ながら中々威勢のよい事で。」


「ぬ?」


「こう、米がぎゅっと詰まってる感じ。」
「一つ一合ぐらいあるんじゃねぇか?」
「一口噛み締めるごとに顎が鍛えられる思いですな。」


「ぬん?」


あれ?
おにぎりおかしい?
俺の作ったおにぎりちょっとおかしい?

やあやあ一生懸命にぎってると自然と力がこもっちゃってー。
そんでもって皆にたくさん食べてもらおうとしたらお米をたくさん握った方がいいかなーなんて思っちゃって。
あ、具もね、何種類か入れてるん。
右っかわにはお漬物でー、左っかわには佃煮とか。
あ、多分政宗様のそれには更に真ん中に梅干し入ってると思うー。


「おう、佃煮と梅干しが何とも絶妙なharmonyを醸し出してやがるぜ。」


流石俺のsweetだな。


「ぬん!喜んでもらえたら俺うれしー。」






「愛だね小十郎。」


何あの梵のキメ顔。
何格好つけてんの。
何梅干しと佃煮って。
微妙の間違いじゃないの。


「あ、俺あさりと塩辛だ。」


同じ海のものなのに、味付けが違うと口の中でこんなにも喧嘩するもんなんだねあさりと塩辛。
何て言うかちょう喉渇きそう。


「ああ、流石政宗様だ。」


あさりと塩辛の握り飯に躊躇無くかぶりつくてめぇも大概だがな。
そんな目をするな。
辛いなら早く茶を飲め。


「そう言う小十郎はどうなのさ。」


何かでっかいやつもらってたけど。


「数の子と茄子の漬物だ。」


その隣にはひじきが入ってるな。
いくつ具を作ったんだあいつは。


「…何か微妙…なにその組み合わせ。」
「…まあな。」
「ああでも塩辛よりはましだよね、塩辛よりは。」
「無理なら食わなきゃよかっただろうが。」
「真樹緒が作ったのは残さない。」



「…でっけえ愛だな。」
「まぁね。」


「ぬ?おシゲちゃん?こじゅさん?」


どうしたん?
おにぎりおいしない?
俺、頑張って作ったんやけど。
ぬん。


「うん?食べ応えがとってもあるねっていうお話。」


真樹緒が俺達の為に作ってくれたんだもの。
とってもおいしいよ。


「ええ、誠に。」


真樹緒殿はお料理が上手にございますな。


「鬼さん!」


やあ鬼さん!
鬼さんの分は俺ね、頑張ったよ!
鬼さんお魚好きってゆうからね、いくらとね、すじことね、納豆が好きってゆうてたから納豆も入れてみたん。
おいしい?


「はい、真樹緒殿が私の為に作って下さった握り飯、格別の美味しさにございます。」


いくらでも食べれてしまいますな。
ありがとうございます。


「ぬん!」




……
………




「何で納豆入れちゃったかな…!」
「上には上がいるもんだな。」


「こらてめぇ綱元、一人株を上げてんじゃねぇよ。」
「何をおっしゃいますか殿。」


いの一番にお株を上げたのはいったいどなたか。


「(?)」
「あ、風魔。」


お前のおにぎりの具は何だったの。


「(すっ)」
「え、何これ。」
「どうした。」
「ちょっと小十郎見てよ風魔のおにぎり。」
「何だ。」


黄色い粉?か。
胡麻をすりつぶしでもしたか。


「(ふるふる)」
「あ、でも何か甘い匂いが…」



「(き な こ)」



……
………



「何で…!?」



何でおにぎりにきな粉なの。
あれ甘味の材料じゃないの。
合わないよ。
駄目だよ。
甘くなっちゃうじゃないおにぎりは主食だよお八つじゃないよ…!


「(?もぐもぐもぐもぐ)」


お い し い


「ちょっと真樹緒!真樹緒!こっちきな!」
「ぬ?なに?」
「何で風魔きな粉がまぶされてるおにぎり食べてるの。」


もぐもぐ食べちゃってるじゃない。
なんか可愛い事になってるじゃない。
いや食べてるのはいいんだけどさ、おにぎりなんだからおにぎり作ってあげなよ何できな粉…!


「う?やってほら、こーちゃんも俺も甘いの好きやし、おはぎできな粉ってあるし、ちょっと作ってみようかなって。」


新しいちょうせんなん。


「そんな挑戦いりません…!」
「ぬーん!」


俺、おいしいとおもうのに!




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