[おへんじ]明智の光秀さんとキネマ主


「…そうですねえ、桜を見に行きましょうか。」
「桜?」
「ええ。」


最近温かいせいか、綻んでいた蕾が一斉に開き始めました。
私はどちらかと言うと散り際の儚いそれの方が好きなのですが、あなたには満開の桜がよく似合う。


「おれ?」
「ふふ…」


昼食を持って、山へ行きませんか。
私が手を引いて差し上げましょう。
桃色の風が吹く中、あなたがけらけらと声を上げて笑う姿を見たい。
それはとても眩しくて私の目を眩ませてしまうのだろうけれど。


「いかがです。」
「…、やあ、ぬん、なんか…」
「桜は好きませんか?」
「ちがうん、えっと、なんてゆうか。」
「、何です。」


はっきりなさい。


「なんか、明智の光秀さん、明智の光秀さんやないような感じで誘うから。」


ぬん、ちょっと俺、びっくりしたってゆうか。
やってほら、いつもはそういうん俺から誘うやん?
お花見とか、お出かけとか。
それから明智の光秀さんにオッケーもらってから皆で行く、ってゆう感じやのに。
何か、今日は、そういう雰囲気ちがって。
明智の光秀さんが誘ってくれるし。

やあやあちょう嬉しいんやで?
すーっごい嬉しいんやけど。


「…なんかどきどきするん。」
「ふふ…でえとですからね。」



……
………



「ぬ?」
「これはでえとなんですよ真樹緒。」



……
………



「えええええええ!?」


何それ。
何それ。
何それ俺はつみみなんやけど…!
ちょっと待って明智の光秀さんデートってどういう事!


「私も男ですので。」


憎からず思っている相手と二人で過ごしたいという思いはあるのですよ。
その様に驚かれる事が心外です。


「やあ、でも、でも、でも…!」
「真樹緒。」
「…ぬん、」
「私とでえとはお嫌ですか。」


朝から日の暮れるまで、傍を離れずにいるのはお嫌ですか。




「…………嫌やないってわかってるくせに。」




ずるい明智の光秀さん。
俺が恥ずかしがってるって分かってるのに。
何わらってるん。
何たのしそうなん。
俺顔が熱くて爆発しそうなんやけど!


「おやおや、それは大変だ。」


爆発されぬ間に攫ってしまおう。

手を貸しなさい真樹緒。
口を閉じて。
音を立てずに。


「…あけちのみつひでさん。」
「逢瀬に無粋な輩はいらない。」


時が許されるまで二人で。


「落とすつもりはありませんが暴れない様に。」
「あ、」
「お返事は。」
「…え、っと。ぬん、っと…あ、う…。」



「真樹緒。」
「…………はい。」
「いい子ですね。」


では、いざ。



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ちょっぴり光秀様で。



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