[おへんじ]奥州の皆様



「おシゲちゃん、後ろのリボンむすんでー。」


ちょっと大きめにふんわり結んでな。
帯みたいに結んでほしいん。

ほら俺魔女やから!
今日は俺魔女っ子やから!

黒いスカートととんがり帽子、鬼さんにほうき作ってもらったしー、後はこの腰のリボンだけなん!
あ、でもあんまり締めつけたら嫌やで。
ごちそう食べれやんようになるから!


「分かった分かった後ろ向きなー。」


はい、くるん。


「くるーん。」


それにしてもさぁ、真樹緒。
はろうぃんっておもしろい日だねぇ。
仮装して騒ぐお祭りなんて。
おシゲちゃん初めて聞いたよ。
真樹緒の誕生日は気合いを入れようと思ってたけどはろうぃんぱーてぃーにしようなんて梵も考えたねー。


「ねー、嬉しー。」


政宗様ってすごいよね!


「はい、できた。」
「ありがと!」


かわいい?
どこに出しても恥ずかしくないぐらいにね。
ぬん!


「やぁ、やぁ、ほんなら俺政宗様迎えに行ってくる。」

「梵も着替え中なの?」

「うい、政宗様はキョンシーなん。」

「きょんしー?」


へぇ、あの衣装ってきょんしーが着てるの。
どうも日の本では見かけない装飾でおシゲちゃん結構苦労したよ?

…、でもきょんしーって何?


「えーっとね、中国のおばけ。」


ハロウィンってな、ほんまはお化けの仮装するんやで。
俺は今日政宗様チョイスで魔女っ子やけど政宗様はキョンシーの格好するん。


キョンシー。
多分中国のおばけやったと思うんやけど、ずっと前に映画で見たっきりやからよう覚えてへんのごめんね。


でもキョンシー、政宗様ちょう似合うと思う!
政宗様は何着ても似合うと思うけど!
ほらイケメンやから!

こう、帽子みたいなんかぶってね。


「あ、そうやおれお札用意しよう!」
「お札?」


うんお札。
お札おでこに貼ったらキョンシー動けやんようになるんやで!
小道具はりあるにいかないとー。
折角のハロウィンやし!


「へー、面白そうだね。。」
「おシゲちゃんもそろそろきがえてね。」


笑ってばっかりいてやんとー。
俺おシゲちゃんの仮装も楽しみよ。


ジェイソン!!
やっぱり鬼さんプレゼンツのお面かぶってね。


「ほんまはチェーンソーがあれば完璧やってんけどー。」


さすがにそこまでは鬼さんにお願いできひんかったん。
やからお面はつけてね。


「…独特なお面だよね。」
「ジェイソンのちゃーむぽいんとなん。」


それがあるからジェイソンなん。
お願いね。


「真樹緒が言うならねー。」
「ありがと!」


こじゅさんとこーちゃんももうすぐ広間に来ると思うから。
こーちゃんとこじゅさんはコウモリと吸血鬼!

こーちゃんがコウモリって絶対可愛いよねー。
羽もあるしねー。
ばっちしよねー。
牙をちょこってはやしてもらうん。


ぬーん!
絶対かわいい…!


こじゅさんもきっと男前やと思うマント。
マントとあの片方だけのメガネ。


早く見たいな―。
本当に今回はおシゲちゃんお疲れ様ー。
いっぱい服作ってくれてありがとうねー。


「なんのなんの。」


楽しかったよ。
真樹緒も手伝ってくれたしね。


「そう言えば鬼庭殿は?」
「鬼さん?」


今回小道具とか沢山作ってらしたみたいだけど、まさかそれだけって事はないよね?
鬼庭殿も仮装するんでしょ?

あれ、でも他に何かあったっけ?
俺梵や真樹緒や小十郎達の他に衣装作った覚えが無いけど…


「鬼さんは狼男やで。」
「狼男?」
「うい!」


俺が作ったよ!
もふもふの耳と尻尾を鬼さんに装着してきたんさっき!
俺が作ったんやで!ってゆうたら鬼さん「それはそれは」ってにこにこ笑いながらつけてくれたよ。


可愛かった!
コワモテさんに耳と尻尾つけたら可愛くなったん!
後でおシゲちゃんも見てね。


「耳と尻尾…」
「もふもふなん。」


鬼さん背が高いからほんまに狼男っぽかったよ。
怖いけどイケメン、イケメンやけど怖い、みたいなぜつみょうさ!

ぬーん!


「あの、鬼庭殿が、耳と尻尾…」
「おシゲちゃん?」
「あ、だめ吹き出しそう。」
「ぬ?」
「くっくっくっ、」
「おシゲちゃーん?」
「一体どんな顔で…」


おーシゲちゃーん?
俺ほったらかしよー。


おーい。
おシゲちゃーん。


一人でお腹抱えてやんとー。
ほらほら着替えー。


「うんうん、分かってる分かってる。」
「早くねー。」


ぬんぬん。
もうちょっとしたらハロウィンパーティーやで。
俺の誕生日パーティーやで。
皆でお化けの格好してね、ご馳走食べるん。
トリックオアトリートって言うて皆にお菓子貰うん。
おめでとう、もまた一杯言うてもらうん。
この誕生日パーティーはすごく前から政宗様らが計画してくれてたんやで。
うれし…!


やぁやぁ、ほんまに皆優しいん。
ぬー、お礼は何がいいやろう。
やっぱりちゅうかなぁ?
でもそれは毎日やってるしー。
どうしようー。


「Hey!真樹緒!準備は出来たかsweet!!」
「わぁ!!」


後ろを振り返ったらそこには政宗様が。
キョンシーの格好した政宗様が!


ぬーん!
かっこういい!
キョンシー似合う!


イケメンは何着たって男前やからすごいよね!
中華な服だって着こなしちゃうよね!


「随分cuteな格好だな。」
「政宗様も男前やで。」
「Oh!Thanks!!」


俺びっくりした。
似合うと思ってたけどやっぱり似合っててびっくりした!
凄い!


「小十郎と風魔を見たか?」


あいつら二人並ぶと中々様になってるぜ。


「ええ、見たい!」


政宗様見に行こう!
こじゅさんとこーちゃん!
吸血鬼とコウモリ!


「あ、そうや政宗様。」
「どうした。」
「広間に行く前に俺お札作りたいん。」
「札?」
「あんな、キョンシーはお札おでこに貼られたら動けやんようになるん。」
「ほう、」


やからね、政宗様をよりリアルにキョンシーにしようと思ってね。
お札作りたいん。
さっき思いついたん忘れてた。
ちょっと政宗様のお部屋寄っていこー。


お札。
俺がそのお札政宗様のおでこに貼ったら政宗様動いたらあかんねんで。
止まっててや。
リアルキョンシーごっこしようね。


「Oh、そりゃあ難儀な札だな。」
「ぬふふー。さいきょうなん。」
「怖い怖い、」
「むー…政宗様笑ってて全然怖がってへんやんか。」
「Ah?」


目の前にお前がいるってのに動けねぇ触れねぇとは、怖すぎて涙が出るぜ?


「でも楽しそうー。」
「そんな札は俺がはがしてやるからな。」


効かねぇよ。


「キョンシーは自分でお札とれやんねんで。」
「そりゃあ大変だ。」


困ったなァ。


「やから全然困ってへんやん政宗様もー。」


笑ってるばっかりなんやから!
ぶう、ってほっぺた膨らましたら広間の方からこじゅさんの声が聞こえた。
俺と政宗様を探す声やで。
政宗様と顔を見合わせて「あ」って。


そう言えば着替えたら一回広間に戻るってお約束やったん。
やぁやぁ忘れてた!
すっかり忘れてた!
普通に政宗様のお部屋に向かってた!


「札は後だな。」
「ぶう。」
「可愛い唇を尖らせてwitchのcharmか?」



そんな事をしなくてもとうに俺はお前に首ったけだぜsweet?



「……俺かって政宗様好きやもん。」
「これ以上俺を虜にしてどうするつもりだ。」
「ぬー!ちゅうは後で!」


もう、もう!
はやく行こう政宗様。
俺パーティ楽しみにしてるんやから!

早く広間に行ってこじゅさんらのお話聞いて。
ほんでやっぱり政宗様が俺にいたずらできやんようにお札は作るんやから!


ちゅうは、
ちゅうは俺からするんやから政宗様は動いたらあかんの!




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