[おへんじ]キネマ主


「政宗様ー。」
「Ah?真樹緒か?」
「うい、入っていーい?」


お邪魔しますー。
ごめんね、お仕事してるのにごめんね。
こじゅさんにばれたら「こんな夜中に何してるんだ」ってお部屋に連れ戻されるからこっそりお邪魔しますー。


「どうしたsweet、一人じゃ寝られなかったか?」


扉をゆっくり開いたら、政宗様が笑ってこっちを見てた。
持ってた筆を机に置いて手招きしてくれる。

俺は開いた時とおんなじ様にゆっくり扉を閉めて政宗様にダッシュ。
思いっきり走ったらこじゅさんにばれてしまうからちっちゃくダッシュ。
両手開いて待っててくれてる政宗様に飛び込んだ。


「ぬくぬくー…」
「随分体が冷えてるじゃねぇか。」
「ちょっと湯ざめしちゃったー。」


誰にも見つからんようにそおーっと廊下歩いて来たから。
政宗様あっためて。


「今日はやけに甘ったれだな。」
「ぬふふー。」


政宗様のお膝に乗って笑う。
両手を握ってあっためてくれてる政宗様は、きっとまだお仕事残ってるんやろうけどちょっとだけ。


あのね、あのね。
これはまだ秘密やねんけどね。
プレゼントなんやで。
俺が、俺に、プレゼント。
ほら俺誕生日やから!
ぬん、俺誕生日なん。


俺決めたん。
今日の夜から俺の誕生日終わるまでずーっとくっついてようって。
政宗様を一人占めしよーって。
やからね、お日様が沈んでお外が真っ暗になって、鳥の声も虫の声も聞こえやん様になったからスタートなん。
俺の誕生日がスタートなん。


「政宗様はお仕事してもええで。」


俺静かにお膝に乗ってるから。
お仕事終わるの待ってるから。
手もあったまって来たし、静かに待ってられるよ。
でもお仕事終わったら俺とお話してな。


「Ha!そんな可愛い事言われて政務が手につく訳ねぇだろ。」
「わぁ!!」


俺が政宗様に大丈夫やで、ってゆうたのに政宗様は俺をだっこしたまま後ろにごろん。
筆も紙も放り出してしまったん。

机の上に乗ってた書類(ぬう、結構重要っぽい!)がぱらぱら落ちてしまうし。
政宗様!って俺が言うても俺をぎゅってして離してくれへんの。


ぬうー。
そりゃあ俺かって政宗様とイチャイチャしたいけどー。
ラブラブしたいけどー。
お仕事はやらんかったらこじゅさんとかおシゲちゃんとかに怒られてしまうよ?


「言わせておけ。」


お前が来た時点でもう政務をする気なんざはるか遠くに飛んでいってるんだ。
なァsweet、こういう時は甘い雰囲気に呑まれるもんだぜ?



「んーぅ、」
「so cute……」
「は…ふ、」


もうー。
もう、政宗様はいつでも突然なんやからー。
突然ちゅうするんやからー。
そりゃあちゅうは大好きやけど!


「真樹緒。」
「ぬ、ぅ…?」
「舌出せ。」
「した?」


こう?
Good


「ん、ん、んっ」


政宗様の言う通りにしたら舌をちゅって吸われて食べられた。
引っ張ったり噛まれたりして離してもらわれへんの。
くすぐったいけど、何かへんな感じ。
お腹がきゅうってなる。


でもそれをどうしたらええんか分からんくって政宗様の頭にぎゅうって抱きついた。
そのうち息も苦しくなって政宗様の髪の毛をちょいちょい引っ張るんやけど全然口は離してもらわれへんの。


けど政宗様は俺にちゅうしたまま俺をだっこして立ち上がる。
ほんでお布団まで運ばれて。


「んーっ、は…!」
「赤いな。」
「は……顔?」
「顔も耳も、ここもな。」
「んっ!」


政宗様はちゅうばっかり!
嬉しいけど!
俺ちゅう大好きやけど!


でも、ちょっと、くるしい。
笑いながら俺にちゅうばっかりしてる政宗様に抱きついた。


「真樹緒?」
「ぬん、」


腕を伸ばしてぎゅうって抱きついた。
政宗様がびっくりしてるけど気にしやんと抱きついた。
顔をすりすりって政宗様の首元に擦りつけて。
政宗様、ってお名前呼んで。


「真樹緒、どうした。」
「……おれの、」
「真樹緒?」
「政宗様は、おれの。」


ほんまは、こじゅさんや、おシゲちゃんや、奥州の人みんなのもんやけど。
今日は、明日になるまでは、日が暮れて夜が明けるまでは政宗様はおれのんなん。


頭撫でるのも俺だけで、ちゅうしてくれるのも俺だけ。
お名前呼んでくれるのも俺だけやし、こうやって笑ってくれるんも俺だけ。
一緒にお布団に入れるんも俺だけ。


「…おれのんやもん。」
「真樹緒…」
「おれのん。」


「くく…」


そうだな、お前のだ。


「政宗様…」
「どうしたsweet。」


余す事無く、俺の全てはお前のものだ。
だから安心しろ。
俺はどこにも行かない。


政宗様に背中をぽんぽん叩かれて何や急にまぶたが重くなる。
体もあったかくってほかほかで、頭の芯がぼーっとする。
ちっちゃいあくびが出て、政宗様の笑う声が聞こえて、意識が遠くなる。


でも絶対手は離したく無くって俺は政宗様にぎゅう。
「大丈夫だ」って優しく俺を抱いてくれてる政宗様の声を遠くの方で聞いて目を閉じた。


「朝おきても、いっしょにおってな、」


朝起きたら、言うから。
誕生日やねんでいうから。
ふたりで、おってな。
政宗様は今日一日、おれのんなん。


「OK sweet 」


一時も離す事無く抱いていてやる。
よく寝ろ。
いい夢を。


「ん…」


おでこにちゅってちゅうされたんを最後に俺の意識はぷっつりとぎれた。
政宗様の匂いに包まれてぷっつりとぎれた。


でも朝起きたらちゃんと政宗様はそこにおって。
ちゃんと俺をぎゅって抱いてくれたまんまお隣におって。
おはようのちゅうもちゃんとやってもらったよ!!


やって今日の朝から夜が明けるまでは政宗様は俺のんやから!




前次
戻る
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -