[おへんじ]松永さん


「松永さーん。」
「何かね。」
「…何で俺、松永さんのお膝でのほほんとお茶飲んでるん?」
「それは私がそうしたいからだよ。」


何か問題でもあるのかね。


「ぬーん…」


俺としては皆の目がとっても痛いんやけどー。
ちくちく刺さってくるんやけどー。
ようそんなに楽しげに俺の頭を撫でてられるね俺はちょっと心臓がドキドキして爆発しそうなんだけど…!


「おや、それは大変だ。」


ならば私が卿の憂いを取り除いて見せようか。
いや、卿はそのまま私の膝に座っていればいい。
あれしきの輩はこの指一つ鳴らせば簡単に吹き飛ばせてしまうのだよ。


「Ah!?どの口がほざきやがる松永!」


てめぇ真樹緒の頼みじゃなかったら城にも上がれなかったんだぞYou see !!


「政宗様のおっしゃる通りだ。やれるもんならやってみやがれ。」


覚悟しやがれ。
その指鳴らす前に切り刻んでやるぜ。


「(しゃきーん)」
「…風魔、ついでに真樹緒を取り返しておいで。」


あの子もう十分お相手したから。
お母さんちょっとそろそろ我慢ならなくなりそうだから。
可愛いうちの子が足やら腰やら触られて堪忍袋の緒が今にも切れそうだから。



……
………



「やぁやぁ、そういう意味やなくてー。」


ほら皆を見て。
何だか笑ってるのに笑って無い感じよ特におシゲちゃんとか。


ぬーん。


今日はね。
ずっと前から行方不明やった松永さんがお土産持ってひょっこり現れてやぁ、お城でお迎えしたん。
やってね、ほらとってもお久しぶりやから。
松永さんと会うんお久しぶりやから俺すっごく嬉しくってすぐさま飛び込んで行ったねんよ。


あ、それと俺怒るつもりやんてんで。
やって松永さん急に俺の前からおらんようになってもたんやから。
でもやぁ飛び込んで行ってすぐがっちり松永さんに捕まってしまったん。


ぬー、


お腹の前で腕を組まれて動けやんくってー。
ちょっと動くと「何かね」って松永さんが聞いてくれるんやけど。
その度にお茶飲ませてくれたりお菓子くれたりするんやけど。


お菓子はほら、お土産の。
くずもち。
俺が食べようとしたら松永さんが食べさせてくれるん。
一人で食べれるよって言うのに松永さんが笑いながら楊枝を取り上げてしまうから、俺はあーんって口を開くしかないやん?
もぐもぐもぐって食べるしかないやん?


くずもちはおいしいけど!
甘くってとろとろやけど!


その度に政宗様達の視線がちくちく痛くってー。
やからそろそろ俺お膝失礼しようかなーって思ってるんやけど。


「おや、真樹緒は私の膝がお気に召さないか。」
「ぬ?やぁやぁそうやないん、」


お膝はジャストフィットよ、俺。
おっきな松永さんのあぐらは俺にちょうどぴったり。
逆に松永さんが足しびれたりせえへんかなーとか思ったりするよ俺。


「ならばじっとしていたまえ。」
「ぬう、でも、」
「私の今日の役目は卿をこれでもかと甘やかす事でね。」
「まじで!」
「嫌かね。」
「えー…ううん。」


松永さんは政宗様とかこじゅさんとはまた違った大人の男の人で、俺こうやって頭撫でられたりしたらちょっとどきどきする。


やって松永さんって普段こんな事せえへんやろう?
人の頭撫でたりやぁ。
ほっぺたの食べさしをとってくれたりやあ。
あーん、ってお菓子食べさせてくれたりやあ。


俺ね、それとっても嬉しいよ。
松永さんが優しいんとっても嬉しいよ。


「可愛い事を言ってくれる。」
「ぬー、松永さんお耳こちょばい。」


くすぐらんとって。
撫でるんやったらちゃんと頭撫でてや。


「よし、よし、」
「もーう、こちょばいって言うてるやんか!」



……
………



「真樹緒が可愛いだなんてそんなの知ってるよ…!!」

「その通りだ今更何を言ってやがる松永てめぇ本当に好い加減にしやがれ…shit!」

「政宗様、ここは小十郎が。」

「(ぎらぎらぎらぎら)」



「……ぬー…、でもやっぱり皆の視線はちくちく痛いん。」



どうしよう松永さん。
俺ちょっとこわい。


「くっくっくっ、若い若い。」


卿に触れるだけでこの有様とは。
片腹が痛い。

どれここで、あれらの目の前で卿の唇のでも奪ってみようか。
いやはやどんな面白い物が見れるのやら。


「ぬ?ちゅう?」
「そう、この小さな唇にだ。」
「でもちゅうは政宗様らにばれやんようにした方がええと思うよ?」
「おや、そうかね。」


見せつけてやろうと思ったのだが。
あれらの目の前で。


「口付けなど簡単だろう?」
「んう、」


んーんんぅ!!
松永さん!
まつながさん!

息!
そんな抑えられたらおれ息できへん!
くるしいん!


「ぷ、は…!」
「こんなにも容易い。」
「まつ、」



「ってめぇ松永ァァァァァ!!」
「!!政宗様!」
「てめぇいい度胸じゃねぇかAhー?」


喧嘩売ってんのかコラ。
いいぜその喧嘩買ってやる。


「政宗様ここは小十郎が。」
「いいや俺が行く。」


どいて。
我慢ならない俺。
何でうちの可愛い真樹緒の唇があんなおっさんに奪われなきゃならないの認めない。


許さない。
行くよ風魔ついておいで。


「(こくこく)」



「……松永さん、みんな怒ってもうたよ。」


やから俺こっそりしようやってゆうたのに。
目の前でやるから。
皆見てる前でやるから。

おシゲちゃんが久しぶりにお母さんや無くなってもうたやん。


「いやはや苛烈苛烈、」


では真樹緒、周りが騒がしくなる前に私達は退散しようか。


「……ぬ?」


俺達?
ぬ?
俺も?


「言っただろう?本日私は卿を甘やかさねばならないのだよ。」
「いっぱい甘やかしてもらったよ?」
「私の気が済んでいなくてね。」
「まじで!」


「それでは独眼竜、私達は失礼するよ。」



真樹緒、掴まっていたまえ。
ういうい。



「っ待ちやがれ松永!」
「真樹緒!!てめぇも抵抗しねぇか!」
「風魔!追いかけて!」
「(シュシュシュ!!!)」




前次
戻る
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -