[おへんじ]奥州家族


「おシゲちゃんおにぎりおかわりー。」
「はいはい、どうぞ。」


良く噛んで食べるんだよ。
喉に詰まらせないように。


「うい!」


あ、政宗様も食べる?
おシゲちゃん特製の新米おにぎり!
俺さっき食べたのたくあん入ってたんやで。
ほんで今貰ったんは…もぐもぐ、…あ、こんぶ。


「政宗様これこんぶやった!」
「うまいか?」
「ちょうおいしー。」


飯つぶついてるぜsweet。
ぬ?とってー。
米ごとその柔い頬を食ってやろうかァ?


「政宗様ご自重を。」


ここは城ではありません。


「そんな事言ったって俺達しかいねぇだろうが。」


なぁ、真樹緒。
俺とお前ならここでkissぐらいするのなんざ訳ねぇよなァ?


「ちゅう?」
「yes」
「でも今、ごはん食べてるからー。」


後にせえへん?
俺いまご飯に夢中。


「What's!?」


やってやぁ、見て政宗様。
このご馳走の山!
重箱六つ分のご馳走の山!
こじゅさん特製のお野菜をたっぷり使ったご馳走の山!

俺これ全部ちょっとずつ食べる予定なんだからー。
こじゅさんとおシゲちゃんが朝から頑張って作ってくれたんやで。
俺の誕生日やからって!
俺の好きなもんばっかり詰めてくれたんやで!


おにぎりやろう?
卵焼きにー。
煮物。
こじゅさんが漬けてくれたお漬物。
おにぎりとちょう合うのよねー。
お魚を焼いたのもあるよ。
お味噌をつけてね、こじゅさんが焼いてくれたん。


良い天気やからそれを持って青葉山で食べよってゆうてくれたんは政宗様やんかー。
おれとっても嬉しかったんやで!


「やからちゅうは後でね。」
「真樹緒、骨が取れたぞ。」
「おさかな!!」
「小十郎!てめぇ何時の間に!」


その魚は俺が真樹緒にやろうと…


「もぐもぐもぐ。」
「真樹緒…!」


お前も何でもかんでも口に入れるな…!


政宗様が背中で何かゆうてるけど気にしないー。
ちゅうはとっても魅力的だけどー、この美味しいご飯を食べ尽くしたいってゆうかー。
あ、このごぼうのきんぴらおいしー。
折角のごちそうやのに!


「政宗様、政宗様、このきんぴらおいしいよ。」


ちょっとぴりっとしてておにぎりと一緒に食べたらちょううましー。
ほら政宗様も食べてみて。


あーん。


「……」


真樹緒。
お前、真樹緒。
今だけはそのcuteな顔が恨めしいぜ俺は。
お前は俺と共にこの愛を分かち合ってくれると思っていたというのに。
その笑顔で誰も彼もを捕えやがってこの小悪魔が…!


「政宗様、あーん。」


ほら食べて。


「はい、あーん。」


政宗様、政宗様、はやく。


「あーん、」
「…あー…」


ぱく


「な!おいしいやろう?」
「…小十郎が作った牛蒡だからな。」
「ねー。」


こじゅさんがつくった牛蒡おいしいよね!


「…結局梵は真樹緒に弱いんだから。」
「(こくこく)」
「あ、風魔ほらお前も沢山食べな。」


さっきから色々準備してて食べてないだろう?
駄目だよ。
ちゃんとお前の分も作ってあるんだから。


「(…、)」
「お返事は?」
「(こくり、)」
「良い子だね。」


おシゲちゃんがこーちゃんの頭を撫でて笑う。
ひかえめにぺこっておじぎしてこーちゃんが俺のお隣に来てくれた。


やぁやぁこーちゃん一緒に食べよう。
俺よそってあげるよ。
このきんぴらも食べて欲しいしー、おにぎりはもちろんやろう?
それにこっちのおひたしとお漬物もおいしいよ!
卵焼いたやつもおすすめ!


「(もぐもぐもぐ)」
「おいしい?」
「(こくり)」
「ぬん!!」


やっぱり絶品よね!
こじゅさんとおシゲちゃんの力作やもんね!


ぬん…幸せ―。
次何食べよー。


「真樹緒。」
「はい?」
「政宗様に酒を。」


注いで差し上げろ。


「お酒?」
「頼めるか?」
「ういういどうぞ!」


こじゅさんからお酒を受け取ってちょっと匂いをかいでみる。
ほのかーな甘い匂いがしてくんくん。

果物のお酒?
とっても良い匂い。


「Thanks」
「甘い?」
「飲んでみるか?」
「梵、」
「政宗様、」
「Oops!」


政宗様のおちょこにお酒を入れて、ごくんって飲む政宗様が笑いながら俺の頭を撫でた。
怒られちまったってぐしゃぐしゃ撫でた。
こじゅさんとおシゲちゃんがちょっと眉毛を釣り上げて俺らを見てる。


やぁ俺そういやお酒飲んだらあかんってゆわれてたっけ!
ぬー。
俺はお酒飲んだ時の事なんて覚えてないんやけど!
でも多分気持ち悪くなった事なんか無いと思うんやけど!


「ばれてもうたねぇ。」


ちょっとぐらいやったら大丈夫やと思うのに。


「真樹緒。」
「はい?」


政宗様に呼ばれて見上げて。
なに?って首かしげたら政宗様が口にちゅって。



「んん!」



くっついた口はちょっとお酒の味。
ぺろって俺の舌を舐めてすぐに離れる。


「甘いだろう?」
「うん、おいしい。」
「成実と小十郎にはsecretだぜ?」
「うい!」


その後もおシゲちゃんとこじゅさんにかくれて政宗様は甘いお酒を飲ませてくれたん。
ちゅうと一緒やからちょっとずつやけどね。
顔がぽかぽかして体が熱くなって。
体の力が抜けてきた時。


「あー!ちょっと梵!?」
「政宗様!もしや真樹緒に酒を…!」
「(!!!)」
「ぬー?」


おシゲちゃんとこじゅさんの声が遠くの方で聞こえて。
俺は甘い匂いのまんまうとうと。
こーちゃんがぽんぽんって肩叩いてくれてるけどお返事できやんくってうとうと。


やぁ、何かあったかいしくらくらするし。
俺ちょっと気持ちよくって、うーん。
まぶたが。
もうまぶたが。



「ぬー…」



「少しだけだ。」
「真樹緒の顔真っ赤だけど。」
「cuteで何よりじゃねぇか。」
「まったくあなた様は…」
「(なでなで)」
「もう、せーっかく生誕日のお祝いだってのに。」


真樹緒が寝ちゃったら意味ないじゃない!


呆れた様なおシゲちゃんの声が聞こえた。
でも小さい小さい声やったからそれ以上は聞き取れやんくって。



「ん…」



気がついたら辺りは真っ暗。
うん?
真っ暗やけど明るくって。
目を開いたらそこには政宗様が。
笑った政宗様に体を起こされてだっこされてお膝に乗せられて目の前。


「わぁ…!!」


そこにはお昼にお山で食べたのよりも一杯のごちそう。
お部屋の中を埋め尽くすほどのごちそう。


「あ、やっと目が覚めたの真樹緒!」
「顔がまだ少し赤いな。」


風魔、水を。


「(しゅた!)」


それからおシゲちゃん、こじゅさん、こーちゃんが。



「あ、れ?」



え?
政宗様…?


ぬん?
え?これなに?


「まさむねさま?」
「くくく…真樹緒のBirthdayparty 第二部だ!」



「!!!」



ええ、まじで。
なんで?


え?
ほんまに?


うそや、…やってお昼にお山で。
あんなにいっぱいお祝いしてもらったのに…、そんなやぁ。



ぬん…
どうしよう、おれ。



「寝てる暇なんてねぇぜ?」
「あ…う、…」



おれ、おれ、
うわぁ、おれ…!



「政宗様!!」



うれしい!
うれしい!ありがとう政宗さま!


おれ、どうしよう!
ぬーん!
だいすき政宗様!




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