自分の名を最後に呼んだのは誰であっただろうか

そんなことすら最早わからなかった

首を切られるその刹那、心に在ったのはなんだったのか

憎悪でも嘆願でも憤慨でもなかった

しかし、それすら覚えてはいなかった

ただ、誰かを求めたことだけはわかる

それが誰だったのかは検討もつかないが

帰らなければならなかったはずだ

自分は、あの庭に

待っている人がいたはずだった

待っている人…?

あぁ、そうだ

約束をしたのであった

誰と??

わからない

伝えたいことがあったのだ

何を?

謝りたかったのだ

何故??

傷つけたからだ……彼女を





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テーマ「人外ファンタジー」
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