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裏七軒から大分離れたところで、一度は姿を消していた神言が姿を現した
「本当は知っているんだろ、神言」
【何の事ぞ】
視線を神言に移すことなく秀次はそう言ったが神言は知らん顔をしている
「桔梗のことだよ。嘘を吐いたのはどうして?」
声の調子を変えずに秀次が再び尋ねた
【…あの者が忘れたことは思い出さない方が良いことかもしれぬ】
神言は秀次の問いにすぐには答えず、ゆっくりと言葉を紡いだ
「それは彼女の過去が辛いものってことなのかな??」
【……】
神言は何も答えない
それは肯定しているも同然だった
秀次はそれ以上追及せず、何かを考える様に彼もまた黙り込んだ
数分くらいそうやってお互いに黙って歩いた後、神言がポツリ、と呟いた
【あの者の願いは叶わなかったのか】
そう呟いた神言の顔は悲しげだった
――私は待つ。…そう約束したから
最後に見た彼女の顔がとても寂しげだったことを思い出しながら
‐be continue-
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