「大きな動きは今のところないね。しいて言うならば…。彼女、桔梗がこの裏七軒にやって来たということだけかな」

「そうなんですか」


秀次の言葉に春の内心は嬉しい様な嬉しくない様なという感じであった


「ところっでこの前まーくんがね…」


そーいえば、と思い出した様に秀次が話し出した







「さて、と。そろそろお暇させてもらおうかな」


話がいい感じに途切れてきたところで秀次が時計を見ながらそう言った


「え? お夕飯は頂いて行かれないのですか??」


てっきり夕飯も食べていくのだと思っていた春は残念そうな顔をした


「折角だけれども今日は遠慮させてもらうよ。突然お邪魔しちゃったし。それに橘あたりに見つかったらきっと小言を言われそうだしね」

「それは確かにあの男なら言いそうだな」

【小姑のような男だからのう】


桔梗と神言は秀次の言葉に同意をする

桔梗は橘とまだ付き合いは短いが、彼なら来るなら事前に連絡をしろ、とくらいは言いそうなのは予想できた


「そういうこと。というわけだから今日のところは帰るよ。今度またお邪魔させてもらった時に春の手料理は頂くとするよ」


立ち上がった秀次はまだ少し残念そうな春の頭を優しく撫で、居間から出ていく


「そうですか…。では外までお見送りします」


春はそう言って秀次の後を追って玄関へと向かう

桔梗も彼らを見送るために後に続いた








玄関から出て少ししたところで秀次がここまででいい、と言ったのでここから二人を見送った

去っていく二人の後ろ姿が見えなくなったところで春と桔梗も家の中へと戻る


「さて、これから皆さんのお夕飯を作らなければ」

「春、私も微力ながら手伝おう」

「ありがとうございます桔梗」


少し秀次達と話し込んでしまったのかもしれない

はな達が帰ってくるまでにはあまり時間がなかった


それに気付き、慌てて夕飯の支度に取り掛かった二人であった




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