嘘と涙


「わたしはユフィが嫌いだよ」








「うわああんっ!
ルルーシュ、ルルーシュッ!」


ユフィは顔をグシャグシャにして、ルルーシュに抱き付いた。


「うわあっ!どうしたんだよ、ユフィ!?」

「コーネリアおねえさまがっ、おねえさまがユフィのことキライっていったぁっ!!」

「は?」


わんわん泣きじゃくるユフィの頭や背中を、ルルーシュは自分の小さな手で撫でてやる。
少女の涙が、ルルーシュの服に染みて広がる。


「おねえさまがキライっていったあ!ユフィがキライって…ひっく、ヤダヤダ!おねえさまにキラわれるのイヤァっ!」

「姉上がユフィをきらいって…」


ルルーシュは困惑して、眉をしかめた。
あのコーネリアがユーフェミアを嫌うなんてこと、天変地異が起こってもありえないと思うのだが。

そして「あ」と、あることに気付く。


「ねぇ、ユフィ。
今日はエイプリルフールだよ」


ユフィはルルーシュの服から頭を上げて問う。


「……エイプリルフール?」

「そう。ユフィだって知っているだろう?
4月1日は、嘘をついても良い日だって」

「……あ…」


ルルーシュの言葉にユーフェミアは目を真ん丸にした。


「……おねえさまのいじわるっ…」


ユーフェミアはかあっと頬を赤く染める。
嘘に気付かず、ルルーシュに思いっきり泣き付いた自分が恥ずかしい。


「ねぇ。ユフィも姉上に嘘をついてみたら?」

「え?」

「ユフィをこんなに泣かせたんだ。仕返し、してみたらどうかな?」


ルルーシュは滅多に見せない悪戯っ子の笑みを浮かべる。

ユーフェミアはおかしそうに微笑んで「そうね」と頷いた。


「ごめんなさい、ルルーシュ。こまらせてしまったかしら」


ルルーシュから体を離して、彼の服を見る。
涙が、大きなシミを作ってしまった。


「別に、これくらい大丈夫だよ。」


ルルーシュは首を横に振る。


「ユフィ、泣きたくなったらいつでも僕のところにきて。」

「?」

「きみが泣き止むまで、側にいてあげるよ」






―君の涙までも、受け止めたいから





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