最後の会話


「アッシュフォード学園に一緒に行こうって言ったんだ」



真っ青な、小さくて冷たい手を握り締めながら、彼女を繋ぎ止めようと。



「彼女と、一緒に…本当に…」



行きたいって、思ってたんだ。
学校だけじゃない。
もっと、いろんな所にだって行きたかった。
初めて出会った時のように、彼女の行きたい所、全部連れて行きたかった。
そして僕が行きたかった所にも、来てほしかった。



「ユフィお姉様は、幸福者ですね」



スザクはゆっくりと振り向いた。
目の見えていないはずのナナリーは、まるでスザクと目が合ったみたいに彼を見て微笑む。



「スザクさんに、想われていて」

「……あの人が、好きになれって」



だから、好きになったわけじゃないけれど。

彼女はあまりに優しくて、僕を真っ直ぐに見てくれていたから。

僕の扉が開かれた。
僕の扉の中に招き入れた。



「僕を、大好きになってくれる…って」

「ふふふ、ユフィお姉様らしいですね」



小さく肩を揺らすナナリーに、スザクは苦笑する。


いつも「いきなり」な彼女。


それは、小さな頃かららしい。



「お兄様、少し淋しがるかも知れませんね」

「え?」

「だって、ユフィお姉様はお兄様の初恋の人だから」

「…そうなんだ」



ナナリーは、ペロっと舌を出した。
冗談みたいに「私、お兄様に失恋しちゃいました」と笑って。






「………ごめんね、ナナリー」

「…え……?」



スザクは、ナナリーに背を向けた。
歪んだ自分の顔を悟られないように。



「そろそろ行くよ。
…ルルーシュに、よろしく」

「あ、……はい…」










―――ごめんね、ナナリー。



今から、君の大好きなお兄さんを殺しに行くよ。








俺の大切なものを奪った罸を―






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