夢の話 「スザク、スザク?」 柔らかな陽射しが遮られ、代わりに優しい声が降ってくる。 「……ん、…ユフィ?」 「スザク、もうお昼が終わっちゃいますよ」 「…えっ、まだ寝たばっかりなのに?」 ガバリと起き上がれば、背中についた草がパラパラ落ちた。 ユフィはクスクス笑いながらスザクの背をはたく。 「何言ってるんですか。スザク、30分も熟睡しといて」 十分寝てました、とユフィは言った。 スザクは、はぁとため息をこぼす。 30分も寝ていた、と言われても、どうもスッキリしない。 まだまだ寝足りない。 「…スザク、スザク?」 「うん?」 ユフィはスザクを呼び、自身の太ももをポンポン叩いた。 「ちょっとくらいサボったって、バチはあたりませんよね」 ユフィはイタズラっぽく微笑む。 一瞬、目を大きく見開いたスザクだが、すぐにその目蓋を閉じて微笑んだ。 「じゃあ、もう少しだけ…」 スザクがユフィの太ももに頭を乗せたその瞬間、午後の授業の始まりを告げる鐘が鳴った。 目を醒ますと、枕が濡れていた。―優しくて、哀しい夢を見てしまったから。 △|▽ |