髪に触れる 彼女の髪は、桜によく似てる。 そう思いながら、横を歩くユフィをずっと見ていた。 「ユフィの髪は、本当に綺麗だね」 目を細めて笑うスザクは、懐かしそうに呟いた。 「ありがとうございます。スザクさんの髪も、とても綺麗ですね。ふわふわで可愛い!」 「え、そう?…ありがとう」 ふんわりと、嬉しいような嬉しくないような誉め言葉をもらったスザクは、ずれたサングラスをかけ直しながら頭を下げる。 「…ユフィ、髪、触っていいかな?」 「へ?」 「君の髪は、桜に似ていて、なんだかすごく落ち着くんだ。 …触ってみたら気持ち良いんだろうなぁって思ったんだけど…」 ユフィは、ふと首をかしげた。 スザクは慌てて言い募る。 「ごめん!なんか変な事言ったね。 気にしなくていいから」 「どうぞ?」 「……は、い?」 ユフィはくるりと回って、スザクに髪を見せた。 「どうぞ、触ってみてください?」 にっこりとスザクに微笑んだユフィ。 「…………」 スザクは、ゆっくりゆっくりと彼女の髪に手を伸ばした。 「……ははっ…」 一房手に取って、サラサラと背中に流す。 「やっぱり綺麗な髪だね。」 桜を彷彿とさせる髪は、スザクの手を泳ぐように手から滑り落ちる。 その感覚は、思った通り気持ちが良かった。 一目見た時から、この桜が目に焼き付いて離れてくれない △|▽ |