後悔なんて



何か後悔してること、やり直したいと思うことはないのか。
僕の問いに、彼女は穏やかに告げた。


『…高校の頃とか、何でわたくし達幼馴染みなんだろうとずっと思っていました。
幼馴染みじゃなかったら、もっと素直になれてたかもしれない、こんなに苦しい思いをしなくてすんだのにっていろいろ思いました。

でもそこを否定するのは違うって思ったんです。

その時は辛かったり、失敗だなって思ったとしても、それがなければ今のわたくしがここで笑ってないって思ったら、後悔することなんて1つもないと分かったんです。
わたくし、キラに出会えて良かったと思ってます。
キラがいたから、今のわたくしが在ると思います。

だから、…ありがとう』



彼女は過去に逆らうことなく今を生きていた。

過去を必死に変えようともがいてきた僕にとって、あまりにもラクスは眩しい。



過去に戻って、ラクスのために無我夢中で走ってきた。
でも今という時間の中で、ラクスと向き合うことはまだ一度もできていなかった。

僕にやるべきことが、出来ることが一つだけ残っている。


『それを教えてくれたのがアスランでした。
…でも、そう思えたのはキラ、貴方がいたからですわ』


『ラクス…』



帰ろう、未来へ。
僕が本当に向き合うべき、君の元へ。



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