シーゲルの言葉



「父はキラ君を気に入っていたんだよ。
あの時のように、また君の家に遊びにいくと
ラクスの婿は君で決まりだと、最期まで言っていた」


シーゲルの言葉に、キラは苦笑する。

―今度やろうは馬鹿野郎。
明日やろうも馬鹿野郎。
思い立ったら何でもすぐやらなきゃだめだ。
後悔するな、いつも明日が来ると思ったら痛い目を見る。
ラクスのことを頼んだ。
…うちの家系にはろくでもない男がちょうどいい。

豪快な物言いと、笑顔が浮かぶ。
ラクスの祖父の言葉は、あの時のキラに大きな勇気をくれた。


「ラクスもすごく感謝していた。
キラ君のおかげで、おじい様に言いたいこと言えたってね」


アルバムをめくりながら、シーゲルは笑う。


「昔はよくうにち遊びに来てたね。
小学生の時に越してきてから君の名前を聞かない日はなかった。
ずいぶん喧嘩もしてたみたいだけど、ラクスにとって特別な存在なんだと、悔しいけど分かったよ。
じゃなきゃ、あの子がキラ君と同じ高校に行きたいなんて言わない」


シーゲルのめくったページに一枚の写真があった。
笑顔のラクス、肘を怪我している。
隣には仏頂面のキラ。


「覚えてるかね…。
思わず笑ってしまったよ。小学5年生があんなことを言ったから。
父も言っていたけど、私もキラ君とラクスが結婚するんじゃないかと思ってたんだ」


“僕が一生ラクスの面倒を見ます!”

“き、ききキラくん…?”

“よろしくお願いしますっ”

“ら、ラクス!?”


「…はい、覚えています」


キラはゆっくり目を閉じた。

忘れられるはずがない、大切な思い出を。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -