消せない想い



過去に戻るのは、これで何回目だろう。



ラクスやアスラン達と離れ、キラは大晦日の夜を一人で過ごしていた。

浮かぶのは、過去に戻る前に妖精が言った言葉ばかり。


―自分の気持ちを変えてみたらどうだ?
お前が新郎席に座る未来よりもこの披露宴に出席をしない未来を作る方がよっぽど簡単だ。
過去のお前が彼女を忘れることが出来れば、今のように辛い思いをせずに済むだろ。


…こうして、ラクスとずっと離れていれば、いつか忘れられる日が来るのだろうか?
ラクスを思い出すことのない未来に、本当に辿り着けるのだろうか。


ふと目にとまったバッティングセンターに、キラは入る。

何でもいい、真っ白になりたかった。
何も考えず、無心になりたかった。


無心で投げ続けた。
何球も、何十球も。

それなのに脳裏に浮かんでくるのはラクスばかりだった。

14年分の、ラクスだった。


重ねてきた年月の重さに涙が零れた。





分かっていたのに、
今あらためて思い知らされた。

この想いは消せない。

やっぱりラクスが好きということ。
ラクスのことが、たまらなく大好きなんだということに。

自分の想いの大きさに、涙が止まらなかった。




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