さようなら





「そこには、何もありませんでした…」


あったのは、空っぽの汚い部屋と行き場のない、わたくしの想い。

無我夢中で彼の元へ走ったけど、
この想いに答えがあると、思っていたけど、
辿り着いた先に彼はいなくて、この想いも、行き場を失った。


「空っぽでした。
ずっと、ずーっと探してたのに、答えは何もなかったのです」


虚しさが胸を満たして、涙が出そうになる。

あの日、渡せなかった“キラのことが大好きです”と書いた手紙。
ずっと持ってたけど、結局渡せないままで。

何もないなら、もうやめてしまおう。
どうせ渡せないなら、捨ててしまおう。
そう思って、紙飛行機にして空に投げた。

フラフラ飛んで、川に流されて消えた手紙。


わたくしの想いを乗せて、彼方へと消える。




さようなら、わたくしの初恋。



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