小学生くらい
街から少し離れた場所にある小高い丘に立つ白い坂。
緩い斜面のその先には、白い家。
カラカラ、カラカラ
車輪が回る。
カラカラ、カラカラ
僕の軽い心のように軽快なリズムで車輪が回る。
シャーっと車輪と白い坂の摩擦する音が心地の良い音となって耳に届く。
「ラクス、か」
白い家に住む、あの子の名前。
白い肌、長く細く伸びた手足。
ピンクの柔らかそうな髪をなびかせた、今日みたいな空の色の瞳のあの子は、ラクス。
ゲームで負けて、罰ゲームであの白い家を訪ねた僕に、楽しそうに笑いかけてくれた。
もうすぐ、この白い坂を下り終わる。
アスラン達には、ラクスの事を内緒にしよう。
“家の人に怒られた”って、泣いたふりでもして。
ラクスのことは僕だけの秘密だ。