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ばらかもん

《有り難み》
何事にも感謝しろ!


「…よし、始めるか。」

「およ。」

――数十分後。

「ぐすん…」

「元気出せよ、先生!」

なるは先生の肩を叩きながら励ましていた。

「…何気に痛いぞ。」

「おぉ、すまん!」

そういい叩くのをやめた。
では、此処で先生となるが何をしていたのかの話。


「…よし、始めるか。」

「およ。」

場所は台所。
先生は手を洗い、まな板を取り出した。
引き続き、慣れない手つきで包丁をまな板の上へ置いた。

「なる!」

「おう!…はいよ、先生。」

台に上がったなるが先生の隣でピーマンを手渡す。

「…ごくり。」

そのピーマンを半分に切るだけ…なのだが、先生はちょいとばかし、いやかなり不器用。

「やぁ!」

勢いよく切り掛かるも自分の手を傷付けてしまい、既に沢山の絆創膏。

結局、ピーマンを血まみれにした先生は料理を完成させることが出来なかった。
郷長に貰ったピーマンとパンチ(白川さん)に分けてもらったひき肉を使って、ピーマンの肉詰めを作りたかったそうな。

「ぐすん…」

「元気出せよ、先生!」


夕方。
ヒロが料理を持ってきてくれるのを先生はなると待っていた。

「ヒロ兄、遅かね。」

なるが先生に話し掛けると

「せんせー、ちゃんぽーん。あれ?なるもいたんか。」

ヒロが裏口から入って来た。

「待ってたぞ、ヒロ!ありがとう、ちゃんぽん。」

「なる、お前そろっと帰れ。」

「えー、なるまだ先生と遊ぶー!」

なるは駄々をこね、先生を困らせた。

「なる、また明日先生に遊んでもらえばよか。今日は遅いけん、帰りぃ。」

ヒロがなるを説得して、なるは渋々帰って行った。

「先生ーまた明日来るけんねー。」

「ったく。仕事も出来やしない。」

「それより先生。その指の絆創膏は何だ?」

先生は指を隠し頬を赤らめた。

「べ、別に何でもない。」

「どうせ包丁使ったんだろ?先生はからきし料理駄目だもんな。」

ははは、と笑いヒロは裏口から出て行った。

先生はちゃぶ台の前でちゃんぽんを食べていた。

「…美味い。」

ありがとう、奥さん。

料理はもうしないと改めて思った日であった。




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