女の子 | ナノ
続編

※神崎です。

お久しぶりです。
いや初めましてかな?
皆様、元気に過ごしておられますか?
風邪引いたりしてませんか?
お腹壊したりしてませんか?
怪我をしたりしていませんか?
健康が一番ですよ。
少々お節介でしたかな?

え?
私ですか?
至って健康ですよ。
元気過ぎるくらいです。
それより私、とても暇なのです。

あっ誰か来ました!

高校生のようです。
楽しそうに話しをしてますね。
私も交ぜてもらいましょうか。

「ねぇ、何の話しをしているの?私にも教えて?」

「それでね昨日夜遅くまで喧嘩してて寝不足なの!もう最悪。」

「まぢで?!可哀相ってかウケるわ!」

「あはは。」

「ちょ、二人とも笑わないでよ!まぢ大変だったんだからね!」

「ごめん、ごめん。んで、どこ行く?」

「ミシドでいんじゃ?」

「いいね。」

「…私も憑いて行こうかな。」

そう私は幽霊。
死んでしまったの。
だから誰も私の声は聞こえない。
でも皆の声は聞こえてくる。
嬉しそうに声をあげたり、
怒鳴り散らして怒ったり、
哀しそうに泣いたり、
楽しそうに笑ったり。
聞いているとこっちまで喜怒哀楽。
まぁこれは言いたかっただけ。

ところで皆。
何で私、浮遊霊してると思う?
そう、私も解らないの。
でも動き回れるようになったのは最近なのよ?
始めからフラフラしていたわけじゃないの。
幽霊って暇ね。
だからといって成仏できないし。
というか成仏しないだけなのかな?
やっぱり心残りなところがあるのかしら。

成仏しようとしていたときもあったのよ?
あれは私が死んで一ヶ月したとき、お墓参りに会社の同僚や先輩、上司の方々が来てくださったの。
その時はまだ墓の辺りをウロウロすることしか出来なかったから、久し振りに会社の人の顔を見れて浮かれていたわ。
だって、慕っていた先輩もいたんだもの。
これはもう動くはずの無い心臓がバックバク。
それでね、先輩が花を供えてくれたの。
それに先輩は私のために涙を流してくれたの。
私、先輩から目が離せなかった。
でも、ずっとはいられないものね。
帰り際に先輩……。
…これを思い出すと途端に恥ずかしくなるわ。

え?
恥ずかしそうに見えない?
でもちゃんと恥ずかしいのよ?

私のお墓の前に立った先輩は、最後にこう言ってくれたの。

“俺はお前が好きだったよ、神崎。愛してる。今でも。…おやすみ。”

って!
もうそれ聞いた瞬間涙溢れて来ちゃって。
それなのに、追い掛けたいのに出来なくて。
その日は一人でとことん泣いたなぁ。
逝く前に先輩に“好きです。”って言えたらよかったなぁ。

今、私、浮遊霊。
とても暇してるの。
だけど誰かに取り憑いたりしないよ?

私はいつだって、皆の幸せを願ってる。
もう二度と私のような子が増えませんように。
そして悲しむ家族、友達、恋人、知り合いが減りますように。

お父さんお母さん。
二人より先に逝っちゃってごめんね。
私の分まで長生きしてね。

友達の皆!
皆とはもっといっぱい遊びたかったよ!
仕事の愚痴とかガールズトークとかいっぱいしたかった!

先輩。
自意識過剰かもしれませんが、悲しませてしまってごめんなさい。
私、先輩のこと大好きです!
愛してます!!

皆のこと大好きです。
私のために涙を流してくれたみんな!ありがとう!


これできっと心残りは無いよ。
最期に皆に逢ってきたから。
だからもう逝くね。
これなら成仏できそう。

皆、先輩、さようなら!


「?………神崎。」

犬井は一人、空を見上げた。




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