恋の始まり | ナノ
第4話

「だから、家族で過ごしなって!」

『嫌です!絶対に百花さんと過ごしたいんです!』

只今、和沙と絶賛口論中です。
何について口論しているかと言うと、年越しについてです。

「私だって家族と過ごすよ。正月くらい!」

まぁ、嘘だけど。
母親、絶対にいないだろうし、今年もきっと一人だ。
もう慣れた。

『本当ですか!?それ。嘘ついてませんか?』

「…はい。ついてません。」

『嘘なんじゃないですか!』

私が敬語使うと嘘だって気づいたらしい。

『誰と過ごすんですか?』

「…一人だよ。毎年。」

声のトーンを低くして、答えた。
和沙は急に黙り込んだ。
きっと私に両親がいないと思い込んだのだろう。
前に一人暮らしのようなものだと教えていたから。

『…じゃあ、家に来ませんか?』

「え?」



ピンポーン。

「百花さん!どうぞ上がって!」

「お、お邪魔します。」

12月31日。
結局、和沙と過ごすことになりました。
元井家は快く私を向かい入れてくれた。

「澤井百花です。お世話になります。」

和沙の両親に挨拶をした。
そのあと、和沙に連れられて階段を上った。

「ここ、俺の部屋。」

「へー。結構綺麗にしてるんだね。」

もっとこう、散らかってると思った。

「うん、片付けた。」

やっぱり。



和沙の家族と夕飯を食べた。
本当は作るところから手伝いをしたかったのだけれど、和沙がそれを止めたため、手伝えなかった。

「いいのよ、百花ちゃん。手伝いなんて。」

「いえ、そんなわけには。家族水入らずの日にお邪魔している身分ですし、少しでも役に立ちたいのです。」

「あらあら、しっかりしているのね。ありがとう。じゃあお言葉に甘えて、片付け手伝ってもらおうかしら。」

「はい。」

和沙のお母さんはとても優しい人だと分かった。



「百花ちゃん、お風呂入っておいで。」

食事を終え、リビングでお話をしていた。
お風呂から出てきた和沙のお父さんが優しい声で言ってくれた。

「はい。ありがとうございます。」

「じゃあ、俺も一緒に入ろうかな。…て、痛痛痛!」

「馬鹿かお前は!」

和沙は父親の首絞めにあっていた。
和沙のお母さんが私に向けて手をヒラヒラしていたので、和沙を置いてリビングをあとにした。


湯舟に浸かりながら“こんな家族いいなぁ”、と小声で呟いた。

湯舟から上がり、脱衣所に行くため扉を開けた。

「ん?…見知らぬ女。」

「へ?だれ?」

思考回路崩壊。
裸を見られました、男性に。
和沙にだってまだ見せてないのに。
隠さずに突っ立っていると、男が言った。

「顔よし、胸はまぁまぁ。脚よし。…で、あんた誰?」

頭の先から脚の先までなめ回すように見られ急に恥ずかしくなった。
私は力が抜けて座り込んでしまった。




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