恋の始まり | ナノ
第2話

「じゃあ行きましょうか!」

「…うん。まずはどこ行くの?」

ニヤッと笑った和沙の横顔が目に映った。

「百花さんは運動できますか?」

??
これは私も予想つくよ!
ボーリング?バッティングセンター?


「到着しました!ラウンド1。百花さん来たことあります?」

“ない。”と首を振ると手を引かれ連れて行かれた。
…運動は得意ではありません。

「実は俺も始めてきました!」

「?!ど、どうするの?私何も分からないわよ?」

「大丈夫!何とかなりますって。」


取り合えず入れました。
ボーリングからするみたいです。
まずは和沙がするみたいなので椅子に座って見学しています。

「…意外と上手。」

「え?そうすか?…次、百花さんの番ですよ!」

えぇ!

「私もやるの?」

「はい。ちゃんと教えますから、安心してください!」

教えてもらうくらいならしたくない。

「指はここに入れます。重いですよ。それで胸の前で構えて軽く助走をつけて投げる。」

えい!なるようになれ!

「いいじゃないですか!3つピンを倒せましたよ!」

…それは凄いの?
一回投げるだけでもかなり疲れてしまう私は体力が低下している証拠か。


ボーリングをし終えたら、小腹が空いた。

「何か食べましょう。」

相談してラウンド1を出ることにした。
少し歩いた所に喫茶店があったので立ち寄った。
少し女々しさを感じさせる所だったが和沙は文句一つ言わなかった。

「あんまり食べ過ぎないでくださいよ?昼食は別のところで食べるんですから。」

「どこ行くの?」

ゴクンとケーキを飲み込んだ後に紅茶を飲みながら聞いた。

「…悩んだんですけど付き合ってくれますか?…」

「…いいよ?」

どこに行くんだろう。


お茶を満喫し小腹は満足げにパンパンだ。
ちょっと食べ過ぎた?

「お昼はマックで持ち帰りしてカラオケに行きませんか?」

ああ、なるほど。
中高生っぽいデート内容だ。
まぁ、普通が1番だけど。
カラオケは好きなので文句ありません。

「うん。じゃあ行こうか。」

“どこ行く?”
“まずマックです。“
“そうでした。”
なんて他愛もない会話をしながら歩いた。


カラオケに入って1時間が経過していた。
二人で回すのは結構キツイとわかった。
今は和沙の番で、私は歌を聴いていた。
次は勿論私の番なので曲は予約済み。
だからゆったりと和沙の歌を聴いていた。
和沙の声は声変わりを終えていて、いい感じにかっこいい。
目を閉じ、聞き惚れていると、次第に睡魔に襲われた。
ウトウトしていると和沙の曲が終わり、私の番がやって来た。

「百花さん眠いんすか?」

「ん…平気……。歌う。…」

「(えー。超眠そう。でも可愛い。)」

寝ぼけ眼で画面を見て歌詞を歌い上げた。
歌いはじめると段々目は覚めてきてちゃんと歌えるようになった。
1曲歌い終えると和沙が拍手をくれた。

「この歌、いいですね。百花さんも歌上手ですし、聞き惚れちゃいました。」

和沙の曲がまだ始まらないところを見ると選び途中らしい。
人に褒められると嬉しい。
向かいに座っている和沙の視線を感じ顔を上げると和沙と目があった。

「…どうした?」

「…えっと、百花さん。」

ん?と前に乗り出すと和沙も同じく前に乗り出してきた。
そのためテーブルの上で、二人はとても近い距離。
和沙は顔を赤くしているがしっかりと私を見ていた。

「カラオケ出たら行きたい所があるんです。付き合ってくれますか?」

何で毎回聞くんだろう。

「いいよ。」

ニコッて笑って見せると、和沙は距離を取り、手で顔を隠した。
可愛い。
照れてんのかな?


カラオケで3時間歌ったら喉がガラガラ。
私も和沙も。

「ちょっと先に何か飲みましょうか。」

「うん、そうだね。」

そういって近くのコンビニで飲み物を買った。
近くの公園にあった屋根つきの休憩所のような所で一休みした。

「はぁ。息白いね。」

「そうっすね。寒くないすか?」

「うん、平気。和沙は?」

「大丈夫っす。次は少し買い物をしたいのでショッピング街へ行きましょう。」

“わかった。”
と頷いて温かい飲み物を一口飲んだ。


休憩し終えた私達はショッピング街へ来ていた。
ほんの少しでいいからと、ただ今別行動中です。
私はその間にトイレを済まし、買い物も済ませた。

少し本屋で時間を潰していると、和沙から電話が掛かってきた。

ケーキ屋に来てほしいと言われたので場所を確認してそこへ向かった。

「あっ!百花さん!」

和沙は元気よく手を振り居場所を伝えていた。

「どうしたの?ケーキ買うの?」

「はい!一緒に食べましょう。」

食べる?何処で?

ケーキを一個ずつ買った。
と、言うより私は和沙に買ってもらった。
だって買うって言って聞かないんだもん。

「休憩できる所があったのでそこに行きましょう。」

案内されるままについて行った。
案内されたところには数人人がいたがテーブルは空いていた。

「ここで食べましょう!」

「うん、じゃあ箱開けよう。」

綺麗に開き皿がわりにして使った。

「「いただきます。」」

ハモったので驚いた。
自分のを一口食べ、

「美味しい!…ねぇ、和沙?一口頂戴?」

和沙のケーキにも手を出そうとした。

「…いいですよ。アーンしてあげます。」

えぇ!それは恥ずかしい。

「…や、やっぱりいい。」

「冗談ですよ、あげますから悄気ないでください。」

悄気てないよ。
だって人前だし恥ずかしいよ。
でもまぁ、くれるのなら有り難く戴きます。

「…ありがとう。パクっ。美味しい!和沙のも美味しいね!」

「俺にもください。」

“いいよ。”
と、差し出すと和沙は口を開けて待っていた。

「アーンしてください。」

顔を真っ赤にしながら口を開け待っている姿を見てドキッとした。

「自分で、食べてよ。恥ずかしいから。」

つられて赤くなっているかもしれない。

「俺はアーンしてもらいたいっす!」

「人が見ていたら出来ない!」

和沙の言葉にドキッとし顔が火照る。
ドキドキしたくないし赤くもなりたくないのに勝手になっちゃって言うことを聞かない。

「じゃあ二人きりだったらしてくれるんすか?」

うぐっ!
それも恥ずかしい。

「…わ、わかった。…はい、ア、アーン。」

観念した私はケーキを和沙の口へ運んでやった。

「ぱく。うん、美味しい!(アーンしてもらったから尚更!)」

ご機嫌の様子の和沙を横に私は恥ずかしさで顔をふさぎ込んでいた。


ケーキを食べ終えた私達は和沙の行きたいところへ向かって歩きだしていた。

「ねぇ和沙。次は何処へ向かってるの?」

移動するといわれたが場所は知らない。

「いいから、ついて来てください。」

ニコニコしながら楽しそうに歩く和沙に、まぁ、いいかなんて思いながらちゃんとついて行った。
歩いている並木道はクリスマスだけあってライトによる装飾が煌びやかに施されていた。
その風景はとても綺麗で感動した。

「着きましたよ。まだ少し明るいけどイルミネーションはちゃんと光っててよかった。見てください、百花さん!」

「…うわぁー、綺麗。」

凄い。
一面に広がるのはライトで描かれている幻想的な世界。
それを丘の上から一望にできる。
そこから見える街の風景もライトで至る所を照らされとても綺麗だ。

「この景色、一緒に見たかったんす。」

「…うん、ありがとう。凄いね!ビックリした。こんなに綺麗に見られるなんて感動。」

街の風景を見ながら話した。
さっきから黙っている和沙を見て、聞いた。

「どうしたの?和沙。」

「…百花さん。話しがあります。」

緊迫した表情で話し出すもんだから焦った。
私、もしかして何かした?

「な、何?」

「……きです。」

下を向いてしまった和沙の声はよく聞き取れなかった。

「…も、もう一回言って?聞こえなかった。」

「…好きです!」

?!
う、こ、告白?!
今ここで?ちょ、え?
嬉しいけど、は、恥ずかしい。

「あ、ありがとう…。」

「付き合ってください!」

「え、と……。」

あれ?
こういうときは何て言うんだっけ?
ごめんなさい?お願いします?YES?NO?
あれ?グルグルだぁー。
ああもうこれ真っ赤だな、顔。
情けない。私の方が年上なのに。

「も、もかさん?」

ドキッ。
な、んか鼓動早い。
名前呼ばれるの照れる。

「…嫌、ですよね?年下なんて…。すみません忘れてください。」

えぇ?なんで?
ねぇ、何で後ろ向くの?
何で忘れなきゃいけないの?
嫌だよ。
だって私、こんなにも。

「…っ!」

ぎゅむ。

「っ!も、百花さん?」

私は背を向けた和沙に抱き着いていた。
もうどうしてか分からない。
このあとどうすればいいかも分からない。

「…それは、OKと言う意味ですか?」

抱き着かれたまま和沙は話す。
和沙の鼓動が聞こえる。
私とほぼ背の変わらない和沙の背中から心臓の音がとっとっとっ、と聞こえる。

「わかんない。…だって、和沙後ろ向いちゃって、何か嫌で、でもどうしたらいいか分からなくて。そうしたら、…抱き着いてた。ごめん。」

自分、最低だ。
和沙は真剣に告白してくれたのに、私はわかんないって、ちゃんと答えてない。
やっぱり私、和沙のこと好きなのに、素直になれない。
何で?
なんで私はこんなにずるいの?




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