いつか君を。 | ナノ
第1話

「ちょ、
大きな声出さないで!」

そう言い、俺の口を塞いだのは、愛しの彼女、野乃佳。
彼女といっても付き合ってるわけじゃない。
俺が一方的に好いてるだけだ。
彼女が叫んだ理由は後程教えよう。
今日に至るまでの話しの後に。


高校1年の夏、俺は怪我をした。
歩道橋の階段から突き落とされた。
まぁよくあることだ、なんて考えられるのは最近のこと。
その頃は何が何だか理解不能。
まぁ階段から落とされたら体中が痛いわけで、意識も遠退く。
俺は、階段下にいた制服を来た女の人の足元に転がり落ちていた。

「…あ、パンツ……見、えた。」

最後に言った一言を聞いていたのはそのパンツの主の女の人。
彼女はしゃがみ込み俺に話しかけているようだった。
だが、その言葉を聞くことすら出来ず気を失った。

気が付くと俺はベッドで寝ていた。
薄目を開け天井を見ていると何かが視界に入って来た。

「…母、さん?」

声を振り絞るように出す。

「悠哉!…目が覚めたのかい?…はぁよかった無事で。今お医者様呼んで来るからね。」

そう言い、部屋を出て行った。
母さんの顔は涙でぐしゃぐしゃだった。
少しすると母さんと医者と、後ろから父さんも部屋に入って来た。

「悠哉!よかった!」

父さんはちょうど今来たようで俺が目を覚ましているのを見て安心したように肩を落とした。

「心配かけて、悪かった、な。父さん母さん。」

俺はぎこちなくも酸素マスク越しに笑って見せた。

「…いいから寝てなさい。」

今にも泣き出しそうな母さんを横に父さんが言った。
そのあと俺は目を瞑り眠りについた。


目が覚めると朝か昼頃だった。
ベッドは窓側にある。
窓から入る日差しが眩しかった。
ベッドの横、窓側の方には一脚の椅子があった。
目玉だけを動かして、椅子の方を見ると母さんではなく別の女の人が座っていた。




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