時の住人 | ナノ
先輩の話

先輩の言葉は突然すぎて私をフリーズさせた。

「おーい、花奈?」

「へ?…あっすみません。で、何ですって?」

改めてもう一度聞き返した。

「だから、バスケ部のマネージャーしない?」

先輩は中学の時からバスケ部だった。
とても上手で、楽しそうにバスケをする人だ。
私は部活に入っていない。
それを知っていて声をかけたのかな?

「何で私なんですか?」

「んー。花奈、中学の時少しだけバスケやってただろう?だから。」

言い終えるとニカァっと笑った。
何と無邪気で可愛い笑顔。

「やる側だったのでマネージャーの仕事はわかりませんよ?」

「大丈夫!他にもマネージャーの子いるし。やっていけば出来るようになるよ!」

この先輩はどうしても私にマネージャーをやらせたいらしい。
正直、こういうタイプは苦手。

「でも、私、バイトしてるので…」
「大丈夫!たまにでもいいから!ね?」

先輩は私が喋り終わる前に言いきった。
駄目だ…先輩、輝いてる…
こういうときはっきり断ることが出来る人になりたい。

「あっそうだ!今日、1日だけ見てみて、考えてよ!」

「これからですか!?」

名案を思いついたという顔でいう先輩。

「今日、バイトは?」

無いです。…はぁ。
心中でため息を吐き、首を横に振った。
此処で嘘をつかない私を誰か褒めて。

「じゃあ行こうー!」

「えっちょっと、先輩!」

私は手を引かれ、体育館へ連れて行かれる。




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