時の住人 | ナノ
新しいもの

4月。
入学式の前に始業式。
玄関は混み合っている。
それもそのはず。
2、3年は自分のクラスを確認して各クラスへ移動する事になっているから。
進級する度にクラス替えを行うのは正直面倒だ。

私は、3組。
名簿は18番。
教室へ入ると誰かに抱き着かれた。

「っわ!……満知?」

「おはよう、花奈!また同じクラスだよ!えへへ。」

そう言い、嬉しそうに笑っているのは高校からの親友の満知。

「宜しくね、満知。」

「うん!」

「おーい、席着けー。」

担任の諸星先生が教卓の前へ立った。
1年のころ3組の担任だった先生だ。
ちなみに私は1組だったのであまり関わりは無い。
先生が軽く挨拶をし終わると、始業式が始まるからと体育館へ急かされた。
始業式では、新しく来た先生の紹介やその他に校長先生の話などを聞いて特に何もなく終わった。

午後からは入学式。
2、3年は午前放課。
休み明けから普通授業になる。
今日のところは式だけ。
なので家へ帰った。

土日が明け学校が始まった。
朝登校していると真新しい制服を着た1年生の姿が目だった。
学校、生徒玄関。
自分の下駄箱を開けると1枚の紙が入っていた。
此処にいると玄関が混むので紙をポケットにしまって教室へ歩きだした。
教室に入ると廊下側から3列目、後ろから3番目の自分の席に着いた。
下駄箱に入っていた紙をポケットから取り出すと、突然目隠しをされた。

「だーれだ。」

「満知。」

「ぶっぶー。」

「は?…って高貴じゃん。」

目隠ししていた手は高貴のものだった。

「騙された?」

「はいはい、朝からラブラブですな。」

「「違うよ!」」

息ピッタリにハモる二人を見て苦笑いをした。

「てか、高貴一緒のクラスだっけ?」

「ひでぇーな、花奈!一緒だよ!」

「あはは、そっか。」

コントみたいのをしていると満知は笑った。
紙を見るタイミングを逃してしまった。
後で見ようかな。

そう思いながら昼休み。
まだ紙を見ていない。
毎回邪魔が入る。
お昼は教室で満知、高貴、私、それにプラスされて卓の4人で食べる。
卓も同じクラスだ。
皆弁当に夢中で今紙を見てもばれないと思い机の下で紙を開いた。
が、読みはじめる前に満知が紙を取り上げた。

「ちょ!満知!」

「なぁーに?これ。」

文字を読もうとした満知から紙を奪い返した。

「もーいいじゃん!見せてよ!」

「わかった、見せる前に自分で読ませて!」

そう言い紙の文字を読みはじめる。
そこには、

「【昼休み中庭に来て下さい。翔太。】…?」

「…って、それ告白じゃね?」

口に出して満知に読み聞かせたのを聞いて1番に口を開いたのは高貴だった。

「え?嘘…」

「行くの?花奈?」

「…行かなきゃ駄目だよね?」

「行ってきなよ。」

高貴はニヤニヤしながら言った。
弁当も食べ終わっていたので、行くことにした。

「…じゃあ、行ってきます。」

「「行ってらっしゃい。」」

満知と高貴は声を合わせて言った。
私は卓がどんな表情をしているのか恐くて見れなかった。




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