おやすみの前に
「ねぇどこで寝るの?」
「「「あ、」」」
皆風呂から上がりリビングで寛いでいる時に満知が唐突に言い放った。
そう言えば考えていなかった。
「あぁ、そうだ。客間が布団敷けるようになってるよ?」
「客間もあるのかよ、スゲーな。」
祖父母が泊まりに来た時に使ってもらっている部屋だから畳み。
布団も敷布団。二枚しか敷けないけど。
「じゃあ、みんなでそこで寝よー!」
「「はぁ?!」」
「無理だよ、布団二枚しか敷けないんだよ?」
それに一緒って…なんか気まずいし。高貴と満知はいいとして…
「大丈夫大丈夫!さっ!敷きに行こ!」
えー!反論なしなのー?!
****
「よしっ!じゃ寝よー。」
「「もう?!」」
…てかさっきから高貴とはもりすぎ。笑える。
「あ、その前に私の携帯取ってきて―高貴。頼む!」
高貴は渋々満知の携帯を取りにリビングへ行った。
「あ!トイレ行ってこよー。」
ん?トイレのついでに携帯取りに行けばよかったのに。
****
…やられた―。
満知にいっぱい食わされちゃった。
康太と二人きりにさせられた。
嫌いなわけじゃないから嫌じゃないんだけど、どうしてもさっきのこと思い出すと康太のこと男として見てしまって変に意識しちゃう。
沈黙が痛い。何か話した方が良いかな?
「そ、そういえば。」
「え?!」
康太は急に話しかけられたからか少し驚いていた。
「康太はここで、みんなで、雑魚寝でもいいの?」
満知が勝手に、みんなで寝る!なんて言い出すもんだから、康太にも迷惑かけていると思う。
「あ、えと、もし嫌だったら言って?満知と私は部屋で寝るから、男子二人でここ使っていいからさ。ね?」
「…そう、だよね。高貴と井上だってさすがに気まずいと思うし、」
立っていた康太が話しながら座りだしたので、私も布団の上に正座をして座った。
「ほんとのこと言うと、皆でこうやって寝るのも楽しいのかなぁーって思っちゃう自分もいるんだよねー、はは、ごめん。」
そう言えば昼間からずっと康太楽しそうにしてたなぁ。
「い、いや、あ謝んないでいいよ。みんなの方が楽しいと思うのは普通だし。」
「…あーもうやめた!」
「へ?!な、何を?」
急に頭を抱えて叫びだした康太に少し驚きながらも、聞いてみた。
「今言うと絶対気まずくなるから言わないにしようと思ってたんだけど、言う!」
「う、うん。」
真剣な表情でしかも少し頬を赤くしながら、見つめてきた。
何を言われるのか、ドキドキしながら待った。
「俺、花奈のこと諦めてないから!振られても好きなんだ。ごめん、迷惑かな?」
「よく言った―!!野島ーー!」
「え?!」
扉を開けて飛び込んできたのは満知だった。
外で話を聞いていたのかもの凄くいいタイミングで現れた。
後ろからは高貴がまるで自分のことかのように顔を赤くして突っ立ていた。
「ちょ、もしかして聞いてたの?二人とも。」
「「うんばっちり!全部!」」
康太の顔を見ると今まで以上に顔を赤くしていた。今にも顔から火が出そうなくらい真っ赤だった。
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