時の住人 | ナノ
お風呂の後が正念場

夕方になり辺りが暗くなった頃には皆、集中力を欠いていた。
それと同時に腹の虫が鳴り響いた。

「腹減った…。」

高貴が私を見て言った。
何か食べ物を催促しているのだろうか。

「…夕飯の支度する?」

「「うん!」」

声を合わせて返事をしたのは高貴と満知。

「確か、カレー余ったよね?」

「…うん、いっぱい食べるとか言って残しちゃった。ごめんね。」

「…ごめん。」

言い出しっぺの二人が謝った。
あんなにいっぱい作って余らなかったらそれの方がおかしい。

「大丈夫。カレーをリメイクしましょ?簡単なものに。」

コロッケとかは手間掛かるから却下。
ご飯もいっぱいあるからうどんも却下。
簡単にできるのと言ったらドリアかな。

「じゃあ作るから手伝って。」

「「「はーい。」」」

キッチンへ行きエプロンをして手を洗った。

「では、カレードリアとサラダを作ろう。」

はーい、と手を挙げ作業に取り掛かった。

皆手際よく作業が行えたので早く終わった。
完成したドリアとサラダをテーブルに並べた。

「では、戴きます。」
「いただきます。」
「「いただきまーす!」」

ドリアを口に入れホクホクして飲み込んだ。

「美味しい。」

3人を見るとパクパク勢い良く食べていた。
何か微笑ましい。

「「ご馳走様でした。」」
「「ごちそうさま!」」

手を合わせ食べ終えた皿を片付けはじめた。

休憩をしながら話しをしているときに重大な問題を発見した。

「…どうする?お風呂。家、湯舟にお湯ためたら変えないんだけど、順番に入れる?」

つまり男子が先に入れば女子はその湯舟に浸かることになり逆もまた然り。

「別に順番でいいよ?」

「そう簡単に言うな。私達は思春期の男子女子なんだぞ。気になることは山ほどある。」

「うーん、私も別に順番でいいよ。」

「俺も。」

何で皆そう平気なんだ。

「わかった。平等にじゃんけんで決めよう。」

そして結果。
満知、野島くん、高貴、私の順になった。

「もう入れるの?」

「もう入りたい?」

私と満知はお互いに疑問符を浮かべた。

「入りたいから準備お願いします!手伝うから行こう!」

「わ、わかった。」

私は満知に手を引かれ、風呂場へと連れていかれた。

「いつ見ても花奈ん家のお風呂大きいよね。皆で入れそう。」

はははと冗談を言って笑う満知は可愛かった。
湯を張り、タオルを出したりし終わったので、湯が一杯になるまでリビングに行くことにした。

「よっし、もう少ししたら入れるよ。それまでリビングにいよ?」

はーい、と先に戻った満知を追い掛け風呂場を後にした。

湯が溜まり、満知が入ってる間に私と高貴と野島くんで作戦会議を開いた。

「満知が出て来たら、その時が勝負だよ。」

「おう。」

強く拳を握り声を張った。
私達の考えた作戦はこうだ。




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