時の住人 | ナノ
勉強会

テスト二日前。
私はやっぱり気になって高貴に聞いてみた。

「ねぇ、満知に告ったの?」

「…まだ。うだうだしてるうちにテスト期間入っちゃって…ごめん。」

「謝らなくていいよ。…タイミングを待ってるの?」

「…うん、多分。」

呼び出すと余計に緊張するのか。
だからといってノリ的な感じの告り方は嫌なんだろうな。
私もさせたくないし。
相手が満知だから余計。

「…タイミング、作ってあげようか。テスト一日目が終わると土日挟んで二日目だから、勉強会するとか。」

でも期間中はテスト勉強に集中するかな?
だとすると告れたとしても返事は延期になったり、ダメになったりするかもな。
それだけはお互いに避けさせてあげたい。

「俺、…テストがちヤバいから勉強会まぢありがたい!」

「…はぁ、そうですか。」

何を言うのかと思いきやそれか。
まぁ高貴らしいと言ったら高貴らしい。


テスト一日目が終わり、土曜がやってきました。
高貴は散々だったようで、昨日テストが終わった途端にキノコを生やしてた。
そんなこともあり、私と満知と高貴と何故か野島くんの4人で勉強会をすることになった。
場所は図書館。
静かだし勉強するには打って付けの場所だ。
図書館の開館の時間と同時に入り、お昼前には出て、私の家で昼食を食べる。
メニューはカレー。
定番中の定番のメニュー。
誰も嫌だと言わないので皆で作った。

「楽しいね、皆でカレー作るの!ね?花奈。」

可愛く首を傾げながら満知は私に問うて来る。

「…うん、楽しいね。男子も役に立ってるし。」

しっかり働いている高貴と野島くんに目をやった。
二人とも野菜を切っている。
高貴なんて玉葱切りながら涙流してる。
まぁ私が切っても涙出るけど、高貴の場合は何か面白い。

「どの位食べれるの?」

私は水の量を量りながら皆に聞いた。

「「いっぱい!」」

?!
驚いたぁ。
満知と高貴、息ピッタリ。
しかもいっぱいって…。
まぁいいけど。


「「いただきまーす!」」
「「いただきます。」」

高貴と満知、私と野島くんが声を合わせて手も合わせた。

「美味しいー!やっぱり皆で作ったから美味しいんだね。」

満知が改めて言うと皆が顔を合わせて小笑した。


「「ゴチになりました。」」
「ご馳走様。」
「ご馳走様でした。さぁ片付けしますか。」

「「「はーい。」」」

皆は私の言葉に手を挙げ返事をした。
高貴と野島くんにテーブルの片付け、私と満知で食器を片付けた。
私は高貴と野島くんを見ながら満知と話しをした。

「家事手伝ってくれる旦那はいいよね。自分が少し楽できるから。」

「そだねー。料理くらい作れないと困っちゃうもんね。女は万能じゃないからねぇ。」

うん、と頷き一通り片付けを終えた。

一休みした私達はテーブルとちゃぶ台にわかれ勉強を再開した。
高貴は満知に厳しく扱いてもらうためにちゃぶ台の方で勉強を始めた。
私と野島くんはテーブル。
椅子に掛け勉強道具を広げた。
直ぐ隣の方では既に満知の叫び声が聞こえた。

「だからそこ!違うってば!」

「わかんねぇーよ。」

違う、わかんないの繰り返しが聞こえる。

「仲良いよね。」

「…うん。」

野島くんに言われ、高貴達の方に目を向けたあと戻したら野島くんと目があった。
お互い何となく伏せてしまった。

勉強を始めて1時間が経つ頃、集中力が切れたのか高貴と満知は手ではなく口を動かしていた。
最初はテスト期間中なのもあって皆集中している様子だったけどやっぱり長くは持たなかった。
口論をしながらだったせいもあるのかやけに疲れてるようだった。
3時にはまだ少し早かったけど休憩にした。

「美味しいね、このケーキ。」

「昨日の内に買っておいたんだ。傷んでなくてよかった。」

お茶とケーキで3時のおやつ。
男子二人も美味しそうに食べていたので安心した。

「ごちそうさま!ちょっとお手洗い借りまーす。」

早々と食べ終えた満知は行ってしまった。
私は一口一口チビチビと食べていた。
美味しいから一気に食べたくない。

「そんなに美味しい?」

「え?もしかして、顔に出てた?」

「「うん、思いっきり。」」

高貴と野島くんにハモられ、急に恥ずかしくなった。

「ケーキ好きなの?」

「…うん。」

「そうなんだ。
(いいこと知っちゃった。)」

野島くんがやけに笑顔のが目についた。
高貴を見ると腹を抱えて笑ってるし、野島くんには笑顔で見守られてるし、恥ずかしいよ。




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