覚悟は
話しを聞いてほしいと言われた私は今高貴と屋上にいる。
授業も終わり昼休み。
満知たちと昼食を食べた後、移動した。
満知には高貴と話しをするとは言っていない。
ところで、私を呼んどいて何故何も話さない。
「…ねぇ。」
「はいっ!」
高貴は大きな返事をして姿勢を正した。
なんか緊張してる?
「高貴、私に聞いてほしいことがあったんじゃなかったの?」
「はい!…その、えっと…」
高貴はもじもじするだけで、話しをしようとしなかった。
仕方ないので思い当たるものを聞いてみることにした。
「…部活のことですか?勉強のことですか?」
「…どちらも違います。」
(なんか花奈こぇー。)
「じゃあ満知のことでしょ?」
「!?」
当たった。
「告るのか?満知に。」
「ぅ、え、あ、っと…」
顔は真っ赤。
しかも慌てふためいていて会話にならない。
「高貴、覚悟決めな!」
少し強く言うと高貴は黙った。
黙られても困る。
まだ高貴の口から何も聞いていないのだから。
「…俺、満知が好きだ。だけど今、皆でいる時間は楽しい。もし…俺が、振られ、たら多分その場にいられなくなる。」
何弱気になってんだ?
お前ら両想いだよ。
「…はぁ。まぁその何だ。高貴は私たち4人でいるのが楽しいわけだ。私だって楽しいよ!だからって私たちに気を遣うな。駄目元でも告白すりゃいいじゃん!振られたら振られたときに考えろ!」
私は長々と高貴に説教を垂れた。
まぁ要するに当たって砕けろ!
高貴の場合、砕けないんだけど。
「ぅう。…花奈ぁー。大好きだぁー!ありがとう!何か今なら満知に気持ち伝えられそう!」
そっか、よかったな。
これで満知もやっと高貴と付き合えるのか。
長かったな、二人。
お互いに素直になれなかったからな。
「…で、いつ告るの?」
「え!?…いつ?」
まさか、告るとは決意したもののいつ告るかは考えてなかったのか。
馬鹿だな、さすが高貴。
「じゃあ今日告れ。」
「えぇ!!」
「気持ちは決まったんだろ?そうしたらもう、言うだけじゃないか。」
何を戸惑う。
(今日の花奈やっぱり恐い!)
…何か怯えてるな。
私何もしていないぞ?
ど、どうしよう。
「わかった。そんな子犬のような顔するな。いつ告るかは高貴が自分で決めなさい。」
よし、優しく言えた。
「…わ、わかった。話し聞いてくれてありがとう、花奈。…俺、頑張る!」
"じゃ、先行くね!"と高貴は屋上を後にした。
騒々しい奴。
いつ告るんだろ。
でも満知が告られたら私に報告してくるだろうから問題ないか。
テスト一週間前になりました。
テストのために勉強をしています。
当たり前のことですが。
部活もテスト期間は休みだそうです。
そのため運動部の皆さんは落ち着かない模様。
ところで、何か忘れていませんか?
そう。
高貴が満知に告白したいという話しを聞いた日から何日経つのでしょう。
高貴と満知の関係はあまり変わっていないように見えるのですが。
もしかしたら二人は付き合っていることを隠しているのでは!
私は仲間外れ!?
……まぁ別にいいのですが。
はぁ、テスト嫌だなぁ。
「だよな。」
「っ!?」
心の中で呟いた筈の言葉に返答が来て驚いた。
誰が発したのか気になって声のした方を向いた。
「…私、声に出してた?」
私の席の前に座っていた彼に聞いてみると、
「うん、出てた。はぁ、テストなんてなくなっちゃえー、糞ヤロー!って。」
「言ってない。」
決してそんなことは言っていない。
聞き間違えにも程がある。
私はテスト嫌だなぁ、といったのだから。
まぁなくなればいいとも思っているけど。
「あはは、違ったか。花奈最近バイトは?」
「まだやってるよ。卓は?」
そう、今私と話しているのは卓。
意外な相手が返事して驚いた。
しかも話すの久しぶり。
緊張しないといいな。
「俺は辞めた。次ラーメン屋でバイトする。テスト明けから雇ってくれるみたいだから今暇。」
ラーメン屋か。
今度卓以外の三人で食べに行こう。
卓がバイトの時。
「ラーメン屋でバイト?大変そう。今度食べに行くからサービスしてね。」
「いや無理。」
「けちー。」
ふざけているとチャイムが鳴った。
卓は席に戻るとき、
「じゃあな。」
って言って戻って行った。
あぁかっこいい。
ダメだ、私。
フラフラしてる。
私も覚悟決めなきゃな。
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