時の住人 | ナノ
良き親友

ホームルームが終わり1時間目が始まる前に満知が私の元にやってきた。

「どうしたの?花奈。元気ないね。」

「うーん。」

机に伏せていた体を起こして、満知を見た。
特に具合が悪いわけじゃない。
ただ、気まずいだけ。
満知には手紙で告白されたことは話していない。

「大丈夫。元気だよ。」

ニコッと笑って見せると満知も笑った。
チャイムが鳴り満知は席に戻って行った。

どうしようか考えながら授業を受けていたためかもうお昼だ。
ずっとぼーっとしてたのかも。
満知に心配かけたかな…

「…お昼にしよっか、花奈。」

「うん。」

満知は屋上で食べようと誘った。
促されるままに屋上に行った。

「あれ?高貴たちは?」

「んー?今日は二人で食べよ?駄目?」

うっ、可愛いな、満知。

「いいよ。」

「ちゃんと話し聞くからね。」

え?
もしかして私が何か悩んでいるのに気づいて?
その話を聞くために二人で食べようって誘ってくれたの?
もう、満知大好き!

「ありがとう。」

私たちは弁当を食べながら話しをした。
まず、昨日手紙が下駄箱に入っていたこと。
次にバスケ部の見学に行ったこと。
それで今日の朝玄関で手紙の贈り主と出くわしたこと。
それが同じクラスの野島くんだってこと。

「やるねー、野島。」

「知り合い?」

満知と野島くんは同じ中学出身らしい。

「野島は変な噂ないからいい奴だよ。で、何悩んでるの?」

「う。」

満知は私が付き合う云々を悩んでいるのじゃないと察したのか核心をついた。

「それは、その…私、野島くんと同じクラスなのをついさっき知って、申し訳ないなって。罪悪感を感じるというか…」

「悪いと思って付き合うって言っても野島は喜ばないだろうからね。素直に言えば?」

満知は"大丈夫だよ、きっと"と言ってくれたけど、正直素直に言うのは野島くんに失礼かな。
どうしよう。

「悩んでいても解決しないから会って話してみたら?」

「…そう、だよね。今日の放課後会おう。」

あっでも部活かな…
少しなら大丈夫だよね。
お昼を食べ終わった私と満知は教室へ戻った。
ちょうどよくチャイムが鳴り昼休みが終わった。

5時間目が終わり、6時間目は自習だとクラス委員に聞かされてクラスの皆がざわついた。
出された課題は少なかったためすぐに終わった。
あっ。
メモ帳を取り出し一枚ちぎって紙に文字を書き出した。
それを周りに気付かれないように野島くんの方に投げた。
丁度机の上に落ちそれに気がついた野島くんは振り向いた。
それは私が投げた紙だよとジェスチャーした。
すると野島くんは顔を少し赤く染めて前を向いた。




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