ふと気が向いて、携帯を手に取る。電話をかけてみたけどなかなかでない。うーん、いつものことだけど!

『……』
「もしもーし!真くん!」
『何の用だよ』

 相変わらず冷たいなあ。もうちょっと愛想よくたって…やっぱり気持ち悪いからだめ。

「用はないんだけどね、」
『じゃあ切るぞ』
「あります、あるある!!」
『ならさっさと言え、バァカ』

 用かあ。ほんとにないんだよね。ただそういう気分だったから電話しただけっていうか。
 それに、用ないと電話しちゃだめなんて決まりはないよ!

「ばかって言ったほうがばかなんだよ」
『ふはっ、バカの典型的な返し方だな』
「真くんのばか」
『切るぞ』
「わーー待って待って!!」

 なんでそんな切りたがるの!?もうちょっと会話しようという気にはならないのかなー!

「もうすぐ春休みだねーっ」
『あ?くだらねぇ雑談するために電話したのか?』
「くだらなくない!」

 雑談だって大事なコミュニケーションです!そんなんだから、わたし以外に友達できないんだよ。…他にもいたっけ?

「ウチと練習試合する?」
『しねえよバァカ』
「だと思った!まあわたしもしたくないけど」
『なら言うんじゃねえよ』

 霧崎第一の噂よくないんだもん。もともと、真くんってそういう部分があったけど。高校に行ってから余計目立つようになったような…?
 わたしだって、自分のとこの選手に怪我させたくないもん。真くんは嫌いじゃないけどね。

「勝てば官軍、負ければ賊軍ーだったよねっ」
『あ?てめぇ意味わかって言ってんのか?』
「ようするに勝てばいいってことでしょ?」

 真くんはわたしをばかにしすぎだと思う!それぐらいわかるよ!翔くんに聞いたもん。

「あれだけして負けたらかっこ悪いよねー、真くん」
『ふはっ、負けねーよ』
「もし試合したら、勝つのはウチだけどね!」
『そのときは、真っ先に今吉のヤツを潰すか』
「できるもんならやってみなさい!」

 真くんのプレイスタイルは否定しない。だってわたしは外野だもん。外野は否定する権利をもたない。試合に勝った側だけが許されること。
 アレ抜きにしてもポテンシャルは高いし勝てると思うんだけど。頭いいひとってよくわかんないなあ。

「あ、話変わるけどテストの結果でた?」
『当たり前だろ』
「どうどう?」
『てめぇには一生かかってもオレと同じ点は取れないだろうな』
「真くん頭いいもんねー」

 いつも学年トップとかそこらへんだったもんね。確かにわたしには取れないなー。これであんまり勉強してないって言うんだから、なおさら。

『…いえ、すみません、訂正します。きっと藍白さんならできますよ!』
「うげっ、優等生モード入るのやめて気持ち悪い!!」
『じゃあ切るぞ』
「えっちょっとまっ」

 ぶつり。容赦なく電話は切られてしまった。ひ、ひど、待ってくれたっていいじゃんー!!
 むかつくからメール送っておこう。恨みをこめて絵文字いっぱいいれちゃおっと。


気が置けない悪童へ / 140426

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