何か音楽が鳴っている。なんだろ、ぼやぼやでよくわかんない。
 だんだんと意識がはっきりしていて、それが着信音だと気付く。ああこれ、翔くんだ。

 …ん、ということは、朝?

 ぱちぱちと何度かまばたきをして、ゆっくり起き上がる。布団はぐちゃぐちゃのままに、携帯を手にとった。

『おはよーさん』
「おはーます〜」
『言えてへんで』
「…お水」

 寝起きなせいでうまく喋れない。ベッドを降りて冷たい水をぐいっと飲むと、ちょっと目が覚めた気がした。
 机の上の時計を見るとちょうど6時半。朝食の時間だ。

「起きたっ」
『いつになったら電話なしで起きれるようになんねん』
「わかんない。同室の子にはさよちゃん起こしたくないって言われた」
『寝起き最悪やからな』

 ちらともうひとつのベッドを見ると、きれいに布団が整えられていた。うう、声もかけてくれないの!?

「昔よりはだいぶマシだと思わない!?」
『基準がひどすぎるわ』
「成長したって言ってよー!」
『1回の電話で起きへんかったら放置するだけや』
「頑張ります……」

 ほったらかしにされるのは絶対嫌だーっ!翔くんなら絶対やる。間違いない。
 中学生のとき、翔くんを巻き込んで遅刻しそうになったことがある。そのとき明日から起こしに行かないって言われたんだよね。
 …ほんとに次の日こなかったから!意地でも起きないといけない。

『そや、成績でるの明日やったか』
「げっ!?」
『ワシが直々に教えたさかい、楽しみやなー』
「え」
『まさかできんかったとは言わへんよな?』

 わ、わーいハードルがとってもあがってるー。答えれるとこはちゃんと答えたし。…どの程度できたらできたに入るんだろうね…。

「あ!そうだお弁当作らなきゃ」
『話そらしおったわ…。まあええ、ワシの分も作ってくれるんやろ?』

 ぱかりと冷蔵庫を開ける。…あれ、水しか入ってないやー。

「卵買い忘れた…あとウインナーも」
『あほちゃう?』
「冷凍食品ばんざい。ってことで翔くんお昼はパンにしてね!」

 はーあ、とわざとらしいため息が聞こえた。卵焼きとウインナーはお弁当の場所をとってくれるお役立ちアイテム。…卵、うまく巻けないからスクランブルエッグになるけど。
 とにかく!このふたつがないと冷食の消費が増える。つまりそういうこと!

「じゃーまた部活で!」
『ほなまた』

 電話を切って、冷凍庫を開ける。今日のお弁当はどうしようかなーっ!


朝ぼらけの声を聞く / 140424

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