古典なんてつまんないからさぼっちゃおー。意味わかんないもん、眠くなっちゃう。
 重い扉を開けると、ぶわっと風が吹きこんでくる。さぼりといえば屋上だよねー!

「あれ、青くんさぼり?いけないなあ」
「そう言うあんたもさぼりだろ」
「まあね!」

 授業でたってどうせ寝ちゃうし、だったらどこにいたって一緒だもーん。
 ごろごろしながら何かの雑誌を読む青くんの隣に座る。はー、ねむーい。お昼のあとって眠すぎるね。

「今日部活くる?」
「いかね。つーかわかってて聞いてるだろ」
「ん?だってマネージャーだもん、一応聞かなきゃかなー?って」

 授業さぼりはわたしには関係ないしどうだっていい。けど、部活は関わりがあるから一応ね!
 実力はわかった。翔くんも別の日に1on1したみたいだし。主将が認めるのなら、わたしも認めるよ。

「勝つ気とそれに伴う実力があれば、なんでもいいや」
「あっそ」

 青くんは読んでいた雑誌を顔にのせた。1年生なのにもうさぼりを覚えるって、なかなかやるなあ。4月もテストあるけど、大丈夫なの?
 …ま、ひとのこと言えないんだけど!

「あんた、今吉さんの幼なじみなんだってな」
「言ったっけ?」
「今吉さんから聞いた」

 ってことは、わたしの話をしたってこと?なんだろ、気になる!

「なんつーか、納得だわ、マジで」
「どういう意味!?」
「そのまんま。寝る」
「えー、寝るまえに教えてよ!」

 ばしばしお腹を叩いたあと、雑誌を奪いとる。かわいい女の子が表紙だけど、何読んでるんだろ?
 ぺら、と表紙をめくろうとしたけど、中身を見る前に奪われた。

「ガキにはまだはえーよ」
「もー!わたしのが年上!」
「そういうとこがガキだっつーの」

 それ、翔くんにも言われたよ!意味わかんない!
 翔くんから見たらわたしは年下だし、今まで結構わがまま言ってきたから否定はしない。けどね、年下の青くんがそれ言うのは許さないよ!

「…なんつーの、バスケに対する考え方が似てる。つーか一緒?」
「わたしをバスケ部に連れてきたのは翔くんだもん。教えてくれたのも翔くんだし、当然だよ」
「あっそ」

 青くんはもう一度、雑誌を開いて顔にのせた。…あのね。だめって言われると気になっちゃうものなんだよ!
 えいっと雑誌を奪いとって、開かれていたページを見る。

「……!?」
「てめ、何すんだよ」

 胸の大きな水着姿の女のひと。開かれていたページには、そんな写真があった。
 ぽかんとしていると、またもあっさり奪われた。もう、いいけど!他のページ見る気しないもん!

「…もー!胸の大きさなんか関係ないじゃんっ」
「藍白はねーよな」
「オブラートに包んでよ!!」
「変な気遣うよりマシだろ」

 ううう、それは確かに。自分でもないのはわかってるし、大丈夫だよ、あるよ!とか言われてもむなしさしか感じない。

「……男の子って胸の大きな女の子が好きなのかな」
「だいたいそうだろ」
「そ、そっかあー……」

 い、今からでも成長するもんなのかな。ていうかどうしたら大きくなるんだろう。
 ……もしかして翔くんも胸の大きい子のほうが好き……!?

「努力したらなんとかなるかな…」
「諦めろ」
「青くんなんてだいっきらいだ!!」
「あっそ」

 もうもう!胸の大きさで女の子をはかっちゃいけないんだよ!ばかー!
 ポケットから携帯をとりだしてウェブを開く。…検索したらでてくるかな。大きくする方法的なの。


十人十色とは言うが / 140524

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