「あのー…」
片付けをしていると、後ろから桃ちゃんの声が聞こえた。
「何?」
「藍白さんとキャプテンってどういう関係なんですか?」
「……は?」
ぴた。思わず片付けの手がとまる。なんで突然そんなことを。
「お、幼なじみだよ」
「そうなんですか?てっきり……」
「っていうか桃ちゃんってスカウティング得意なんだって!?」
「え、あ、はい」
な、なんで焦ったんだろ、わたし。たいしたことじゃないのに!
「今日1日、うちの選手見てどうだった?」
「そうですね…、」
あ、桃ちゃんがずっとメモしてたやつ。覗きこむと、短時間のわりには結構いいところを見てるって感じがした。
…なんか、すごいなあ。さすがあの帝光バスケ部でマネージャーをやっていただけはあるね。いい戦力になりそう。これはうちの情報だから正確にはスカウティングじゃないけど!
「よっしこれ系は全部桃ちゃんに任せたーっ」
「えっ!?」
「わたし苦手なんだもん、よろしく!そのかわり他のことは頑張ります」
まかせて!そう言うと、桃ちゃんは目をぱちぱちさせた。
「えっと…はい、わかりました」
「でね、聞きたいことがあるんだけど」
「はい?」
じっと桃ちゃんの目を見つめる。初めて見たときからずっと気になってた。というか、わたし以外にも気になるひとはいると思う。
「何食べたら胸って大きくなるの?」
「はいぃ!?」
「桃ちゃんは大きすぎだけど、ほどほどにほしいなって…」
ぺた。自分の胸に手をあてる。…うん。
「えーっと…特に何もしてませんけど…」
「……うう」
「藍白さんはそのままでもかわいいと思いますよ」
「……」
桃ちゃんは敵。さよ覚えた。わたしの胸見てちょっと笑ったの、見逃してないからね!!
いっぱい寝てるつもりだしご飯もちゃんと食べてるのに、背も胸も小さい。なんで!?
「片付けまだ終わらへん?」
「ぎゃっ!?」
びびびっくりした、翔くんか!そうだよね、もたもたしてたら鍵返すの遅れちゃう。それに待ってもらってるんだし。
「あ、そういえば桃ちゃんと青くんってどういう関係?」
「藍白さんと同じです」
「え」
ま、まじでか。全然気付かなかった。幼なじみ、かつお付き合いしてるんだ。そうか。…そうか。
「…桃ちゃん、今度お茶しよっか」
「はい!」
同じならきっと、わたしがわからないこともわかるよね。今度いっぱい聞いてみようかな…!
「はよしい、倉庫閉めるで」
「閉じこめないでね!?」
いけない、ついつい雑談しちゃうね!だって新しいマネージャーさんだもん。しかたないよね!
桃の花が揺らめいて / 140514