電話がきて、ちゃんと起きて、電話切りました!
 気付いたら朝ごはんの時間が終わってて、家をでるまであと10分とかそこらだった。…はい、二度寝しました。

 ってぼけーっとしてる場合じゃない!!

 朝ごはんはもうしかたない。始業式だけだからいい!がまんできる!…と思いたい!
 ぱぱっと制服に着替えて!髪まとめる時間ないからとかすだけでいいや!

 ばたばたと走りながら玄関ホールに向かう。今日は一緒に登校、だもんね!

「おーまーたーせーしましたっ…」
「おっそ、何しとんねん」

 疲れた。そしてお腹すいた。がまんできる!って思ったけど走ったせいで空腹感増した。
 始業式中にお腹なったらそれ、わたしです!…は、恥ずかしい。

「リボンよれとるわ」
「ほんと!?急いでたからねー…」

 ん、とすこし顔をあげて、翔くんに結びなおしてもらう。ぱちっと目があって、なんだかよくわからないけど目を逸らしてしまった。きょろきょろと泳ぐ視線。

「何もたもたしとんねん、時間あらへんで」
「え、あ、ごめんっ」

 急いで支度したとはいえ、いつもより遅くでたことに変わりはないもんね!
 翔くんの隣を歩いていると、急に手をにぎられて反射的に飛び退いた。え、あ、あれ…!?

「あちゃー、嫌われてしもたわ〜」
「違う違う!!」

 な、なんでだろ。いつもなら全然平気なはずなのに。
 改めて手を繋ぎなおしてみたけど、今度はなんともなかった。う、うーん……??びっくりしただけ?なんかどきどきする、し。


- - -


「わーーかーーっ!!」
「新学期早々うるせーよ!!」
「いつもの若ってこんな感じ」
「んなわけねーだろ!!」

 んなわけあるんだけどなあ。試合に勝ったあととかほんっとにうるさくて殴りたくなるし。賑やかなのはいいことだけどね!好きだよ!

「また同じクラスだね、よろしく!」
「またお世話係か」
「うんうん、若の世話するの大変〜」
「ちげーよ!オレがお前の、だ!」

 いやいやいや。わたししっかりしてるから。お世話される要素ないから!
 うるさい若をたしなめるわたし。ほら、わたしのがお世話するほう。

 笑い声がしてふと周りを見ると、こっちを見て女の子が笑っていた。にこ、と笑って手を振る。知らない子だ。

「仲いいんだね」
「もちろん。同じ部活だからね!」
「……はあ」

 ため息ついて机につっぷすって、若眠いの?新学期早々居眠りで休み時間をつぶすなんてもったいないことするなあ。わたし以外の友達できないよ?

「同じ部活って…何してるの?」
「バスケ部!のマネージャー!」

 そう言うと、女の子は渋い顔をした。うーん?どうしたんだろ。

「マネージャーってだるくない?雑用係じゃん」
「雑用、係……」

 たしかに。それは間違いではないよね。実際掃除とか、スコアとか、テーピングドリンクその他もろもろ雑用に分類されるものだと思う。だけどね。

「雑用でも、部のための立派なお仕事、だよ!」

 だってわたしがいなかったら部員の苦労が増えるわけだ。そしたら練習に集中できない。彼らが思う存分練習するためにはわたしが必要、だよね!
 勝つための力にはなれてる。だからね、ほんとに楽しいんだよ!

「…お前って、生意気って言われるだろ」
「若うるさい」

 どこが生意気なのかな、まったく失礼しちゃう!思ってることを言ったまでだもん。それに、あってるでしょ!


静かな雪解の始まり / 140513

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