夜なのに明るい街を遠目で眺めながらチョコレートを口にいれる。あっまい…わたし、甘いの苦手って言ったのになあ。この差し入れは嫌がらせのつもり?ご丁寧に“食べろ”と書き置きまであったし…。あの子の嫌いな食べ物は何だったかな〜。

「何時間ぶっ続けで本を読んでたんだっけ〜…」

 覚えていないけれど、ずいぶん肩が凝ってしまっている。息抜きに屋上に来たのは正解だったみたいだねえ。
 そういえば、うちの大学の屋上ってフェンスも何もないから危ないんだよなあ。立ち入り禁止の理由はきっとそれだよね。入ったけど。
 さすが夜の大学、見下ろすと真っ暗闇。そりゃあ誰も22時まで居残らないよねえ。正門閉まっちゃうし。

「風、強いなあ」

 髪が乱れてうっとうしい。いい加減、切ったほうがいいのかもしれない。
 空を見上げると星がとてもきれいに輝いている。風のせいでだいぶ体が冷えてきた。さすがに白衣で外はまずかったなあ。冬なんだし、わざわざ寒い屋上に行かずとも暖かい場所に行けばよかった。

 ひとつ、白い尾をひく星が目にとまる。

「あっれえ、今日って彗星見れたっけ〜」

 そんなニュース見た覚えがないんだけどなあ。まめにチェックしていたつもりだったけど、見逃してしまった?薬学の研究に夢中で忘れてしまっただけ?
 星に手を伸ばすと、途端に後ろから強い風がふいた。

 夜の闇にまじって、白い蝶が見えた気がした。


( 140225 )


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