「…それ全部買うの?」
「うん〜」

 何その、かごに大量にはいったお菓子。紫原くんはいつも大量のお菓子をもってきていたからわかっていたと言えばそうだけど。…まさか毎日この量を買うわけじゃないよね?
 紫原くんが寮生活でよかった。これがひとり暮らしだったら相当栄養偏ってたよね。お菓子以外食べるのかなあ。

「アララ、やえちんはもう買ったのー?」
「ドレッシング買いたかっただけだからね」

 本当はコンビニじゃなくてスーパーで買いたかったんだよね。そっちのが安いんだもん。コンビニもスーパーもたいして距離が変わらないなら、安いほうに行きたいのは当たり前!

「やえちん主婦みたい〜」
「それ、喜んでいいの?」

 この年齢で主婦みたいって言われても複雑なんだけどなあ。でもよく言われる。晩ご飯の手伝いも買い出しも好きでやってるからいいけどね。
 ただ、褒めているのか貶しているのかよくわからないってだけ。褒め言葉として受け取るけどね!

 会計中の紫原くんをおいて外にでる。少し暑いなあ。そろそろアイスが恋しくなる季節だ。…こたつにはいってアイス食べてたけど。

「会計長かったねー」
「ん、いろいろ買ったし」
「何買ったの?」

 うわ、ほんとにいろいろだ。レジ袋の中身はまいう棒がほとんどだけど、それ以外にもたくさんある。わたしもお菓子は好きだけど、この量を毎日だと嫌いになりそうな気がする。
 好きなものばっかりって、最初は幸せだけど、だんだん飽きて嫌いになってしまいそうで怖いなあ。

「やえちん、どしたの〜?」
「ん?んー、よし、これもーらいっ」
「は!?」
「タルトあげたもん。1個ぐらいだめ?」
「……」

 納得いかないんだねえ。でも反論もできないよね!タルトを食べた時点でわたしの勝ち!

「そういえば、さっきのひとって部活のひと…だよね?」
「うん、先輩〜。面白いでしょー」
「面白い…?のかな…」

 ああでも、思い出すと笑えてくる。岡村…だっけ、先輩は他のふたりにきついことを言われていたよね。あれって信頼関係があるからこそなんだろうなあ。このひとならここまで言っても大丈夫って。そういうの、いいよね。

「な〜んか楽しそうだねー」
「そう?」

 料理部も楽しかったし、バスケ部のひとたちの会話も面白かった。反応に困るけど!それにタルト美味しかったって言ってもらえたしね。全部わたしひとりで作ったものではないけど、それでも嬉しい。

「ってそうだ!晩ご飯作らなきゃいけないからさっさと帰らなきゃだった」
「ん、やえちんの家ってどっち?」
「あっちー」
「ふーん、逆だねー」
「そうそう」

  家はすぐ近くだし、またねーと手を振って紫原くんと別れる。やっぱり結構暑いなあ、家に帰ったらすぐお風呂に入りたいけど、さすがに20時ちょっとすぎとなると先にご飯だよね。この時間じゃ、もうお母さんがご飯を全部作り終えてる頃かも。今日の晩ご飯は何かなー!


( いとけなき / 131103 )

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