「一発殴っていい?」
「今度お菓子作るから許してください」
「許す」

 …勝った!やっぱり餌付けってかなり有用だと思う。

 数学以外のノートを写させてもらいたくて、朝早く友達を呼びだした。誰もいないからついでにいろいろ説明したらこの有り様。

「まー、あたしから言うことは何もありません。紫原くんにもお礼しなよ」
「何作ろうかなあ」
「お菓子じゃなくて、やえがキスなり抱きしめるなりすれば」
「はっ!?」

 何言ってるの!?びっくりしすぎて声裏返った…!!そ、そんなことよりきっとお菓子のが喜ぶもん。多分。わかんないけど。

 それにしても。こうして朝早くから付き合ってくれる友達には頭があがらないなあ。

 ひたすらノートを写していると、だんだんと周りが騒がしくなってきた。
 糖分が恋しくなって、みかん味の飴を口にいれる。はー疲れた、でもあとちょっと!

「頑張ってんねー」
「うんー」

 …よっし終わったー!なんとかHR開始前に終了。頑張った!

「あ!むっくんおはよー」
「もしかして今気付いたの〜?」
「いやいやさっきから気付いてたよ」

 あとちょっとだったから適当に流したけど!

 机に突っ伏している友達を叩き起こし、飴を添えてノートを返す。りんごといちご。

「よく眠れたー?」
「うん。ばっちり!」
「ふーん」

 うう、そんなまじまじと見られると落ち着かない。でもほんとによく眠れたんだよ。…おかげで晩ご飯食べそこねたんだけど。

「あげる〜」
「え、…えっ!?」

 どさりと置かれたレジ袋。な、え…大量のお菓子入ってるんだけど…!?

「なんで!?え、どうしたの?」
「だからあげるって言ってんじゃん」
「いや、え、だからなんで…!?」
「なんでもいいじゃん〜」

 結構量多いし、誰がくれてもびっくりはするけど。相手がむっくんだから余計にびっくりというか。もうそろそろ雪降る?初雪にはまだはやいよね?

「とりあえず、ありがとう…?」
「うんー」

 …これ何日分あるんだろう。飴率高いなあ。あ、チョコもある。て、天変地異の前触れかなあ…。
 うう、お礼!お礼することさらに増えたんだけど!

「今日はなんもされてないー?」
「朝早くからいたからねー。下駄箱はわからないけどこっちは大丈夫」

 ぼそぼそと小声でつぶやく。あんまり大きい声で話せることじゃないもんね。
 まあ、多分何もされてないと思うけど。女のカンってやつかなあ。あの子たち、こっちに全く視線向けないもん。避けてるって感じ。

 …原因はあれかなあ。むっくんがね、怒るとなかなか強烈だよね。怖いよねー…。

「やえちん、これちょーだい」
「ああ、うん、どうぞ」

 わ、わたしにくれたお菓子だよね!?量多いから持っていってくれて構わないけど!
 他のお菓子はかばんに突っ込むことにした。剥きだしで置くのにはちょっと抵抗があるんだよね、量が量だし。

 うーん、ありがたいけど。理由なしにくれるとは思えないし、なんだったんだろう。

( お菓子の山 / 140417 )

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