やっぱりお友達だし、話を聞いてもらった以上きちんと報告をしなければいけないと思う。朝早く呼び出して友達には申し訳ない。夕方だとなんだかんだで忘れたりまあいっかってなったりするし、これなら確実に忘れず報告することができる。

「ふーん…」
「そ、それだけ?」
「驚く要素ないし」

 そ、そお…。もうちょっとリアクションが欲しかったんだけどなあ。話しながら顔を赤くしているわたしの気持ちにもなってほしい。というか、どんだけ意識しているんだっていう話だよね。話すだけでもだめとか、もう、どうしたらいいんだろうこれ。

「あんたが告白ー…するわけないよねえ」
「ないねー…」
「あっちから告白するってのも意外だけど」

 その言葉で一気に昨日の出来事を思い出して顔が熱くなる。いやもうさっきから熱かったけど余計に!もうだめだー!

 だんだん教室に人が増えてきて騒がしくなる。もうこの会話はおしまい。

「わたし、そのうち死ぬ〜…」
「大丈夫だって、人間そんな簡単に死なないし?」
「むう……」

 本当に死なない?もう昨日から思い出すたびにどきどきしっぱなしだし。布団のなかでじたばたしてて気付いたら3時すぎてたし。倒れたらちゃんと保健室に連れていってね?
 …こんなあほっぽい理由で倒れてたまるか。でもそれぐらい落ち着かないの!

「あ、紫原くんきたよ」
「!!」

 ぱっとドアのほうを見ると思いっきり目があってしまった。あー!もうだめ。目をそらすと今度はにやにやしているお友達と目があってしまった。こういうときの友達は絶対にわたしにとって不都合なことをしてくる。
 案の定、頑張ってねと小声でつぶやき友達はわたしに背をむけた。待って!こっちむいて!たすけて!

「…やえちん何してんの〜?」
「ひっ!?あっどっどうもおはようございます!」
「?おはよ〜」

 いつの間にこっちに来てたの!?びっくりしてすごい変な声がでちゃった気がする!
 友達の肩がぷるぷる震えているけど、絶対にこいつ笑いをこらえてる。授業中に消しカス投げていい?

「きょっ今日は朝練だったんですかお疲れ様ですっ」
「…敬語の練習でもしてんのー?」
「や、ま、待ってごめんなさい落ち着くから待って」

 本人を目の前にするともっとだめ。今まで本当に普通に話していたのか疑問に思うレベルで今のわたしはおかしい。だってね、いやもう仕方ないというか!中身子どもっぽいんだけどすごくかっこいいんだよね。
 端からみると、身長差のせいでわたしのほうが子どもっぽいんだけどそんなことは忘れたい。

「変なやえちん〜」
「ひゃっ!?」
「よしよし〜」

 な、なんだろう。むっくんは頭撫でるの好きなの?嫌じゃないしわりと好きだなあと思っているけども。というかね、それじゃ落ち着こうにも落ち着けないというか余計にいろいろ悪化していくというか。いや待って。ちらと盗みみたむっくんの表情。

「…絶対わざとやってるよね?」
「アララ、ばれちった」
「すっごい楽しそうな顔してたからね!」
「実際楽しいし〜」

 ちょっと睨んでみたけど、余計に楽しそうにしだしたから机に突っ伏した。だめだこれ、何やっても意味がない。完全にむっくんのペースにもっていかれてる。
 どうしたの〜?なんて言いながらむっくんは相変わらず頭を撫でる。あーうん、やっぱりわたしって頭撫でられるの好きみたい。

「…あ」
「わっ、びっくりした〜」

 ちょっといいことを思いついて勢いよく顔をあげる。わたしにとってはいいこと。一度はやってみたいって思うこと。

「ちょっとかがんで!」
「こう〜?」
「そうそう、ありがと」

 ほとんど目線が同じになって心臓が大きな音をたてる。緊張しつうむっくんの頭を撫でると、びっくりしたみたいですこしだけ肩を揺らした。やっぱりね!これだけ身長高いと頭撫でられるなんてそうそうないはず。ちょっと頬赤いよね?やったーわたしの勝ち!

「…やえちんのばか」
「さっきの仕返し!」
「生意気だし〜」

 ぶすっとしているけど実際嬉しいんでしょ、表情隠しきれてないもん!かっこいいけど可愛いなあ。
 ちょっと勝ち誇った感じでいたら思いっきり髪をぐしゃぐしゃにされてしまった。ひどい。撫でるのはいいけどぐしゃぐしゃにするのは許さない!

「もう飴あげないからねっ」
「!?やえちんゴメ〜ン」

 お菓子でどうにかできちゃうってどうなんだろう。いやほんとうにすごく心配になるんだけど、他のひとからお菓子もらってもついていかないでね?


( 色をかえる / 131218 )

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