先頭には目つきの悪い、変な髪型な銀髪がいた。秀吉"様"って、様って、何なんだろう。確かに兄さんはすごいひとだから様付けしても違和感はないといえばないけど…。
 銀髪の後ろにはリアル浮いてるひとと手枷つけた趣味の悪いひとがいて、なんだろうもしかして。まさかとは思うが兄さんの知り合いとか、そんなことは。

「久しいな、三成」
「はい。ご無沙汰しております」

 …あっれーおかしいなー、突然頭痛が。
 こんな超個性的すぎるひとたちと知り合いって、兄さんは一体今までどんな学校生活を過ごしてきたんだ。兄さんの家は遠くはないけれど、学区の関係で小中学校が違うため学校での兄さんを知らない。
 しかし、こんな、こんなひとたちと知り合いって、どんな過ごしかたをしていたら知り合うの?まさかの部活の先輩後輩かと思ったが、あの浮いてるひととかどうやって部活を。というか手枷つけたひとはどうやって日常生活を…ってそれはどうでもいい。

「して、太閤。その娘は何ぞ」
「我の従妹よ。お前達と同じく今日入学した」
「……純野都子です」

 わたしはごくごく普通のどこにでもいる一般的な女子高校生だから、超個性的で平凡から離れた君たちは認識できなかったのかもしれないけど、同じクラスです。わたしは今日夢にでてくるのではと心配になるぐらいばっちり覚えていますよ。
 銀髪がこっちを睨んでいる気がして、兄さんの後ろに隠れると、さらに眼力が強くなったような気がして本当に怖い。そういえば今更感がものすごいが、太閤って呼び方もなんなんだろう。兄さんは一体何者なんだ。
 とりあえず全員自己紹介をし、同じクラスなんだなという話になったけど、わたしはそれ知っていましたからね…。

「都子、皆と仲良くするのだぞ」
「わ、わかったー…」

 すっごい引きつっている気がする。どうみても嘘っぽい笑いかたをしてしまった。嘘がへたというのは面倒だなー。すぐに顔にでてしまうのが自分でもよくわかる。案の定わたしの変な笑いかたのせいで、兄さんが複雑そうな顔をしている。…そういう表情をさせたいわけじゃないのになー。

「貴様…!秀吉様を煩わせるな!」
「なんっ…!?」

 なんだと、と言いたくなったが、深呼吸をし、自分を抑える。石田くんの言っていることは正論だ。わたしが兄さんを煩わせているのは事実。

「よい、三成。都子も見知らぬ人間に戸惑っておるのだろう」

 思わぬ助け舟に感謝する。さっすが兄さん!見知らぬ人間、というかあまりにも個性的すぎて戸惑っているわけだけど、きっとそういうのも含めて兄さんはわかっているのだと思う。やはり兄さんのそばは安心する。…この個性的なひとたちの存在はちょっと忘れよう。

「へぇ…君が関わると、秀吉はそういう顔もするんだね」
「えっと…?」
「…半兵衛」
「ふふ、なんでもないよ」

 わたしからすれば今の兄さんはいつもの兄さんだけど、竹中先輩から見たらそうではないかな?なんでもないよと言いつつ、興味深そうにこちらを見つめてくるから、やはり恥ずかしくなって兄さんの服の裾をにぎる。あの3人もなかなかに厄介そうだけど、竹中先輩もべつの意味で厄介そうだ!

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