頑張り屋さん
図書室で今日入ったばっかりの新刊をずっと読んでいたら、いつの間にか11時を回っていた。
少し喉が渇いたため、何か飲もうとキッチンへ向かうために自室を出た。
明かりが付いていないために真っ暗な廊下だったが、姉さんの部屋の扉の隙間から明かりが漏れていた。
そういえば、姉さんは明日から期末テストがあるからと夕飯をいつもより早く食べて、勉強すると部屋に戻って行ったんだっけ。
まだ勉強しているのかな?
控えめに姉さんの部屋をノックしてみるが、返事が帰ってこない。
寝てしまったんだろうか?
もう一度ノックしてから部屋に入ると、姉さんは目を閉じたり開いたりを繰り返していた。
「姉さん、眠いなら寝たほうがいいよ」
「精市?大丈夫、あとこれだけだから…」
「目、閉じかかってるよ?」
「でも、これ覚えたらもう完ぺきだから」
そう言って何度寝たほうがいいと言っても、姉さんは「あと少し、あと少し」と一向に寝ようとしない。
「何か飲む?」
「うん、じゃあコー」
「ホットミルクね、今入れてくるから待ってて」
コーヒーと言う前に俺の言葉で遮ると姉さんは苦笑した。
キッチンへ行き、俺と姉さんの分のホットミルクを手早く作り、再び姉さんの部屋へと向かう。
「姉さん、ホットミルク…って、寝ちゃったのか」
姉さんは結局、机に突っ伏して寝てしまった。
入れてきたホットミルクを零れない場所に置き、近くにあったブランケットを姉さんに掛ける。
机の上に置いてあったメモ帳から一枚貰い、置き手紙を書いた。
それを分かりやすい場所に置き、部屋の電気を消した。
「おやすみ、姉さん」
頑張り屋な姉さんへ
起きた時にホットミルクが冷めていたら、温めてから飲んでね。
それから、頑張るのはいいけどあまり無理をしないように。
精市より
2012.11.28