めんどくさがり屋



ザアザアと雨の降る音が聞こえる。

そういえば、昨日の天気予報で今日は雨だったなぁと思い出していたら、携帯に着信が入った。

ディスプレイを見れば、お母さんと表示されていた。

何コールか目に出るとお母さんの「またゴロゴロしてたんでしょ」という呆れ声が聞こえた。


休みの日にゴロゴロして何が悪い。


そう言い返そうと思ったが、めんどくさくなることは目に見えているから口にするのをやめた。


「電話してきてどうしたの?」

「そうそう、お母さんとお父さん今日出張で帰らないから家事よろしくね」

「えー」

「じゃあ、切るわね」


私が文句を言う前に素早くブチリと電話を切られてしまった。

ただでさえ雨が降っていてやる気が出ないというのに…。


ベッドから起き上がり、洗濯物を干すために階段を下りる。

のそのそとゆっくり階段を下りていれば、前方から我が弟、マサがやってきた。


「姉さん、頭ボサボサ…」

「マサー」


そのまま倒れるようにマサに抱きつけば、マサはしっかりと私を抱きとめた。

髪からほんのり香るシャンプーの匂い。

一緒のものを使っているはずなのに、何故か違う匂いがする。


ドクンドクンとマサの鼓動が聞こえて、開いていた目が再び閉じようとするのを何とか堪える。


「マサー、今日お父さんとお母さん帰ってこないんだってー」

「さっき聞いたぜよ」

「えー」


あぁ…ダメだ、このままじゃ寝てしまう。


「こんな時旦那がいてくれたら…」

「旦那はおらんくても、俺がおる」

「やだ、ちょっとキュンときた」

「姉さんは惚れっぽいからのぅ…」


クスクスと笑っているのだろうか、マサの肩が小刻みに震えている。


「洗濯物…」

「洗濯物?…姉さん?」


耳元でスースーと正しい寝息が聞こえてきた。


「…しょうがないのぅ」


立って抱きついたまま寝ている姉さんを抱き上げ、俺は姉さんの部屋へと向かった。


まだ干していないであろう洗濯物は後で代わりに干しておこう。

昼食もついでに作っておけば、姉さんは喜んでくれるだろうか?


「めんどくさがり屋の姉がおると、弟は大変じゃ」



2012.1126


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