無知少女と、正体。
初めて学校に来たこともあり、先生の前で堂々と早弁もしたこともある月島さんはいろんな意味での注目の的だった。
昼休み、先生に突然呼ばれた月島さんは反抗する間もなく、引きづられるようにどこかへと連行された。
きっと職員室だろう。
さっき先生に注意されたにも関わらず、お弁当を食べることをやめなかった月島さん。
当然と言っちゃ当然である。
5分くらいして帰ってきた月島さんは、とても難しそうな顔をして自分の席に着く。
「あの、黄瀬さん」
月島さんにいきなり呼ばれて多少なりとも驚いた俺は、そんな素振りを見せることなく月島さんの呼びかけに応える。
「なんスか?」
「…どうして私は怒られたのでしょうか?」
「へ?」
「家ではお腹が空いた時には、直ぐにご飯を食べるように言われています。私はそれに従いました。それなのに何故、私は怒られたのでしょうか?」
眉間にシワを寄せ、理解できないといった表情を見せる月島さんに俺は呆気に取られた。
何言ってるんだ、この人は。
家でのルールと学校のルールが違うことは当たり前なのに、不可解な行動の他に怒られる理由が分からないとまで言い出した。
もしかしたら、月島さんはとんでもない箱入り娘なのかもしれない。
そう考えると、今までの行動や言動へと繋がる。
まさか月島さんの正体が箱入り娘だったなんて…。
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