プロポーズ
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今日の謙也は変だ。
今日というか、最近の様子が変。
何だかやけにソワソワとしたり、私をチラチラと見たりする。
立ち上がっては座り、座っては立ち上がったり。
新たなトレーニングでもやり始めたのだろうかと思ったが、そうでもないらしい。
一体どうしたというのか。
今日も変な謙也をチラリと見るとバッチリと目があった。
謙也は私と目があった瞬間、気まずそうに勢いよく私から視線をずらした。
ソファに座ってモジモジ、そわそわ。
…もしかしたら。
そう思って私は謙也に近寄る。
「謙也、大丈夫だよ。まだ、遅くない」
「は?」
テーブルの上にそっとハル○ケアを置く。
「ちゃうわ!」
「え?違うの?ソワソワしてたからそうなのかと思っちゃった」
「アホ!てか、何で持ってんねん!」
「お父さんに頼まれたの」
よかった。
さすがにまだ24の彼氏がハル○ケアを使用するなんて、少し…いやかなり嫌だ。
特にすることもなくなって、謙也の隣に腰を下ろす。
すると謙也は私の肩を勢いよく掴んできた。
「わ、何?」
「あ、あんな」
「私あんなじゃないけど」
「ちょ、黙っとり!…しずく、そろそろいいと思っとるんや」
「え?別れ話?」
「何でそうなるん!?」
謙也は盛大にため息を吐いて私を見る。
その後に何回か大きく深呼吸をして私の手をぎゅっと握った。
「その、な」
謙也のいつになく真面目な表情に私もつられて笑みを消す。
謙也はもう一度大きく深呼吸して、難しそうな顔で私を見た。
「しずく、俺と結婚してください」
いきなりの事で驚いたのと、嬉しさで涙が溢れた。
「え、嫌やった?」
「ううん。嬉しくて…。不束者ですがよろしくお願いします」
そう言うと謙也は嬉しそうに微笑んだ。
120819