hand in hand
前回のデートから二週間振り。これまでのデート回数はたったの三回。仕事があるし、仕方ないけど。ちなみに付き合い初めて三ヶ月目。え?月一ですか?自分に尋ねちゃうぐらいの回数。でも、今日のデートを入れたら三週間に一回の割合?…割合の問題じゃなくて!
「奈々子ちゃん?ボーっとしてどうかした?」
「考え事」
「そ、そっか」
もう。そういう時は「俺といるのに?」の一言ぐらい言ってよ!これまでのデートも全部、私から連絡つけて行く場所決めて時間、待ち合わせ決めて。たまには渉くんから誘ってよ。
「他に行きたいとこはある?」
「…うん」
ダメだ。楽しまないと。
「あのお店行くっ!」
「うん、いいよ」
にっこり笑えば笑い返してくれて、さりげなく道路側歩いてくれるし、さっきまでに買ったもの全部持ってくれてるし。いつの間に?ってなって、優しいな、って思えて嬉しいのに。手が当たって。ふいに立ち止まる。どうしたのかと思えば、
「っえい!……ダメ?」
どうしてくれよう、このヘタレ。愛しいとか、こんなヘタレっぷりが可愛いなぁ、なんて思っちゃえる私は末期かもしれない。相手は年上なのに。
「いいけど、これじゃあ握手みたいです」
直ぐに手を離すから、その手を今度は自分から繋ぎにいく。指を絡めて繋げば、好きだよ、の気持ちが絡まる。
「あのね、奈々子ちゃん。好きだよ」
「渉くん、ここ、街中……」
「あ、ご、ゴメンね!」
慌てて離れようとするから、手に力を込めて留まらせる。
「あぁっ、そ、そっか。手繋いでるんだよね」
言った瞬間、真っ赤になってく。そんなに照れるとこ?なんだか逆に私がおかしい気さえしてくる。しばらく俯いていた渉くんが、勢いよく顔を上げた。端からみたら、街中でなにやってんだ、とか思われてるんだろうな。鈴木さんとか寺島さんとかいたら絶対からかわれてるよ?
「行こっか、奈々子ちゃん」
それなのに──超絶笑顔とはまさにこれだ。見てはこっちが照れる。
「そういえば、さっき、暗い顔して何考えてたの?」
「え?」
「仕事、なにかあった?大丈夫?」
さっき……あ、忘れてた。
「うん、大丈夫」
会えば大好きを沢山くれるから。優しさを沢山くれるから。だから、誘うぐらい私がしてあげる。
「奈々子ちゃん、俺ね、こうやっていられるの、すっごい嬉しい」
私は渉くんがそうやって笑ってくれるのが、すっごい嬉しい。でもね、
「だからココ街中…」
「ごごっごめん!」
私の彼氏はかっこかわいい年上彼氏。
fin
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