疑問詞がつく
「保村!やぁーすむらぁー!」
「はいはい。あーたねぇ。こんな部屋の中で叫ばなくたって」
仕方ない、とか言いつつも相手をしてくれるこの先輩。目下お気に入り。
「あのねー、見て見て!」
じゃーん!と自分で効果音をつけて携帯の画面を見せる。
「ぐっ…」
途端、保村は吹き出した。それでも画面の中の相手を気遣ってなのか、それ以上は声に出さまい、と結構必死っぽい。
「な、に…それ」
「こないだ吉野と安元と中村と田坂と私と五人で飲んだ時の罰ゲーム、吉野版!」
「よっちん…なんかもう、どうコメントしていいのかわかんないよ…」
「んで、次!」
じゃじゃーん!と見せたのは、自分。吉野と同じ格好で。………あれ?反応がないぞ?
「保村?」
「え?あ、あぁ。ついによっちん、呼び捨てにされるの許したんだね」
いきなり話飛んでますけど。そんなに私のセーラーは危険物ですか。
「保村?」
の割にガン見してるし。そこまで見られると逆に恥ずかしくなってくるっていうか。
「は、はいっ終わり!」
「あ、はい、うん」
なんだか微妙な流れのまま休憩終了。して、仕事終了。
「保村〜、どっかでご飯でも…」
食べてく?と続けようとして、言葉が止まった。携帯を開いて画面を見たまま、微動だにしないってどうよ?なにを見てるのか横から覗こうとしたら、勢いよくパチンと閉じられた。
「だめ!これはダメ!だめです!」
「けーちぃー」
「ダメなもんはだぁめ」
いいや。空しいけど一人でどっか食べに行こうかな。歩き出そうとしたら引き止められた。
「ねぇ。さっきの写メ、他に誰撮ったの?」
「吉野の?私の?」
「奈々子の」
「私の携帯で吉野に撮ってもらって、吉野も自分ので撮ってた」
「あ、そう…」
それがどうかしたのかな?うーん…さっぱり思いつかない。
「奈々子。簡単によっちんを信用しちゃだめだからね?」
益々わけがわからない。首を捻る、けどわからない。
「保村?」
今日何回同じセリフを繰り返してるやる。
「あ、飯だっけ?行くわ」
「うん」
私が持っていた肩掛けのバックを、当たり前のように保村が持ってくれる。
「奈々子は食いたいのあるの?」
「保村の好きなように」
「じゃファミレスで」
並んで歩き出してから、アレ?と思った。なんだか恋人みたいだ。
fin
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