近づいたが最後っ


「中村、謝るなら今のうちだぞ」
「なんでお前に謝る必要がある?」

ベットに寝そべりながらウトウトしていたら二人の声が、煩い。間違えた、耳に入ってくる。

「謝る必要は十二分にあるはずだが。なあ、中村」
「知らない。お前の気のせいだろ」
「いい加減、子供じみた言い訳するな」

眠気覚ましになんかなかったっけ?冷蔵庫冷蔵庫。…あ、ボス発見。あー生き返る。

「杉田、お前もっと広い心を持て。そんなことじゃあ人間として恥ずかしい」
「そうだな。だがこれでもお前より何百倍、何千倍広いんだ」

もっともだ。…さ、ゲームでもしようかな。サモンナイト3…悠一いるけどストーリー長いし、短いやつ…塊魂、これだ。

「選択肢を変えてやる。謝るかはたかれるか、だ」
「はたかれる」
「そこでお前はそっちに即答するな」

選択肢出来ちゃう上に、どこまでも強気だ悠一。…よし、開始20秒目標サイズクリア!自分さすが!

「どうした?はたかないのか?」
「人間関係を円滑にするために謝る、という行為は必要不可欠なんだぞ」
「それがどうした」

悠一おもしろいっ!あーあ智和固まってんじゃん。…ん?ソフトの奥にCD発見。なんだろ?桃…あぁ。

「中村…お前というやつは…」
「俺というやつは?」
「何様のつもりだ!」
「俺様。さらに言えば中村様」

うーわ、こんなやり取り実際に聞いたの初めてだよ。…そろそろ塊魂も飽きるなぁ。簡単だし。どうしよっかな。

「舌、噛むなよ」
「噛んでたまるか」

二人を見てみれば、ちょうど音を発生させることなく、智和が悠一の頭をはたいた所だった。…玄関の鍵、よし掛かってない。

「言っておくけどな、中村。自業自得だぞ」
「はたかれてやったんだ。謝らないからな」

こんな状況でも悠一のほうが大きく見えるのはなんでだろう。…あ、塊新記録。

「仕事がある。奈々子じゃあな」
「ばいばーい」

悠一に近づきながら、視線だけはわざと音を立てて帰る智和を見送る。

「っつー…」
「痛かったんでしょ?素直に謝ればよかったのに」

片手を悠一の肩に置いて、もう片方で頭を撫でる。いつもは頭を触るのを嫌がるのに、今日は大人しい。

「なんで杉田相手に。俺が素直になるのは奈々子の前で充分だろ」
「私の前でも充分ひねてるよ」
「じゃあ素直になってやる。愛してるよ、奈々子」

思わず怒られていた理由を聞き逃した。



fin


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