お迎えTake out


免許を持ってて良かったと最近つくづく思うよぉなった。鳥くんに言ったら一笑され、それまた櫻井に言ったらため息をつかれ、それまたそれまた。でも今の俺はそんなことを気にしよるような小さい男やない!今日も上機嫌。
女子大。女子大生。なんて、いー響き。そんなアホなことを考えてる場合やなく、最後の授業が終わったのかゾロゾロ出てくる女の子の群れ。帰宅のその波に合わせ、ガードレールのない場所まで車を移動させる。まっだかな。



コンコン、と控え目に窓が鳴った。ロックを外して内に迎え入れる。

「おかえり。奈々子ちゃん」
「ただいま、です」

照れているのか、めちゃくちゃな文法の返事があった。ゆっくり車を出す。

「どっか寄りたいとこある?」
「ないでーす」

なら帰るべき場所は唯一つやな。自分の家。可能なら毎日でも連れ帰りたいとこやけど、できひんしな。

「健一さん?難しい顔してどうかしましたか?」
「んー?奈々子ちゃんが可愛過ぎてどうしようかと」
「なっ!そっな、コト、真剣に考えないでください!」

そう言われても、淡く施されただけの化粧とか、それだけで充分過ぎるくらい可愛いとか、キレーな肌とか、若いよなとか、当たり前やな、とか。

「ほら、また」
「なにが?」
「…なんでもないでーす。しっかり前見て運転してください」

しばらく黙って運転。事故りたくはないしな。

「奈々子ちゃん、着いたぞー、っと、あーあ」

異様に静かだとは思ったけど、寝てるとはさすがに思わんかった。エンジンを切って運転席から出ると、助手席に回る。奈々子の膝裏と背中に腕を回す。

「ほっ!あーここまで安心して寝られるのも男としては悲しいような」

なんとか車に鍵を掛けて、なんとか家の鍵を開けて中へ。抱き上げたままソファーに座る。…少しだけなら。額、頬、口元にキスを繋ぐ。

「んー?」
「奈々子ちゃん、おはようさん」
「健一さん…っ!」
「離しません」

起きるなり逃げようとした奈々子の体を抱え込む。

「すっっ…ごい、恥ずかしいのですけど、」
「やだー」
「ご飯作りますから…」
「んーどうしよっかな」
「お願いします、頼みます」
「じゃあ愛の告白してくれたらな」

照れた顔も困った顔も可愛い。意を決した顔も。

「一生大事にしますからね!」

予想外の告白に、余計奈々子を離せなくなった。



fin


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