Honey Honey



「洗濯終わって、畳んで、お風呂準備、ご飯準備、大丈夫で、あと?掃除!した、し。大丈夫、だよね?う…ん」

一安心で気が抜けてボンヤリ、ふわふわした頭で後どれぐらいで帰ってくるんだろう、などなど考えていたら電話が鳴った。

「はいはーいっと……はい、篠崎です」
「諏訪部です。だろ」
「順一?!」

玄関で音がしたような気がしたけど、気のせいかも。と無視。

「はい、もう一回。諏訪部ですけど、って」
「っ!はい、す、すわ…あーもう恥ずかしいなっ!」
「じゃあ奈々子が慣れるまで掛け続けないとな」

じゃあ私は慣れるまで諏訪部さんに対して諏訪部ですけど、って言わないといけないわけ?さっきも言ったけど、順一に対して諏訪部ですって言うのが、これまた最高で最強で最悪に恥ずかしいわけで、だっ、まだ、半月なわけで、いままで篠崎だったわけで、

「奈々子?なにか考えてるところ悪いけど、ただいま」

なんだか音が二重に聞こえた。電話壊れたのかな?まっさかー。

「おかえり。は言ってくれないのか?」

耳元で、背後から声。いや、壁向いて電話してたんだから正面から声がしても恐いけど。って今はそうじゃなくって!

「ただいま」
「………おかえりなさい……」

思わず絶句だよ、これ。背後に、背後に、

「玄関気付かなかったか?」
「電話に集中してたです」
「ああ、俺の声に集中してたのか」


両横に腕が伸びてきて、壁と順一に挟まれて動けなくて、この体勢はいかがなものなのかとは思うんですけど、いかがなのでしょうか、順一サン。

「アナタ、ご飯にします?お風呂にします?それとも私?とかいうオプションはない?」
「ナイデス」

というかそんなオプションを付ける余裕すらないです。距離があれば、まだなんとかなるかもしれないけど。いや、本当に耳元は反則だって。

「はぁ。じゃあこれで我慢するか」

後ろから首を舐めら、舐められた?!ツクンとした痛みが一回。その後にゆっくり体が離れていく。

「ご飯にするか。な、諏訪部さんの奥サマ?」

穴があるなら入りたい。穴がないなら自らが掘ってでも。顔から火が出る。きっといまなら目玉焼きがオデコで作れるんじゃないか的な勢いだ。心臓の鼓動は1000qマラソン全力疾走したんじゃないか?みたいなことになってるし。
半月、やっと結婚の自覚が出来た。でも、自覚したらしたで、諸問題が発生。

「奈々子。風呂は一緒に入ろうな」

涼しい顔をして言わないで下さい旦那サマ!



fin


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